エプスタインから「スキャンダル」まで

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このエプスタインの事件を見て、昔見た映画「スキャンダル」を思い出しました。英国のプロヒューモ事件に材をとった実録ものです。女優のセクシーさが宣伝されてましたが、女性と政治家を仲介者となった男を演じたジョン・ハートが、うまかったですよ。

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プロヒューモ事件でも、仲介者となった男は自殺しています。

ジェフリー・エプスタインの事件は、児童買春というか、子どもが大勢虐待されていたというのがまず出てきていて、プロヒューモ事件のような、はなから政治スキャンダルというのとは異なる事件ですが、エプスタインが富豪で多くの上流人士と交流があったことから、いろいろなウワサが出てきていますね。ハリウッド・バビロン的な事件というか、すでに映画やテレビ、最近だとネット配信のドラマとか、この実録ものを作ろうと動き出しているんだろうな、と。

追記 2019-08-22

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既に実録もの映画のネタにされそうなウワサが出尽くした後なので、後手に回った感はあるが、検視局がはっきり断定したのはいいこと。

このエプスタインだが、はじめは高校の教師をしていたそうで、その後トレーダーに転身して大金持ちになりそして……という経歴なのだけど、高校の先生になってたのはひょっとして女子高生と接触する機会が多いからなのだろうかとかんぐってしまう。

こういうとあれだが、とにかく娑婆をうろつかないでいてくれれば安心だと思ってる親御さんは多いだろうな、エプスタインみたいなのは。

あいちトリエンナーレのコールセンター


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今回の「表現の不自由展・その後」中止の大きな理由となった、電話回線パンクだが、上の記事にコールセンターについては次のような説明があった。

そして、問題は③でした。大量の抗議電話が来ることは事前に予想できたため、当初より外部のコールセンターに対応業務をアウトソーシングするという手段は検討していました。しかし行政の文化事業の場合、説明責任も生じるため、安易なアウトソーシングもできないという問題もありました。そのため、会期前までに電話回線を増強するという対応を行いました(2日午後にはさらに追加したと聞いています)。これについては、新国立競技場の建築コンペでザハ・ハディドを選出した建築家の事務所に、抗議電話が殺到した際の数字などを参考に、有識者と検討して決めました。
ただし、この対応にも限界がありました。そもそも、抗議用の特設回線をつくってコールセンターに回しても、大きな事業では抗議がまず本体や本庁に来ることも多く、そこから職員が特設回線を誘導する形だと事務局の電話が塞がり、朝から晩まで本来の業務ができないという問題が解決しません。また、これだけ大規模な行政に対するクレームを民間事業者のコールセンターで引き受けた事例は、これまで1件もないそうです。組織的な抗議電話の炎上対応をコールセンターに任せるというのは、そもそも現実的な選択肢でないことが今回のことでよく理解できました。

これは将来的には技術的にもっと上手にさばけるようになるかもしれないが、AIでの対応になったりすると、抗議の電話を入れてきた側が怒るかもしれないので、やはりめんどいですかね。ちなみに、電凸という方法は、左派も使ってきた抗議の仕方です。

あと、上の記事では実行委員会が下請け制作会社みたいに見えるせいか、この本を思い出しました。

 

番組はなぜ改ざんされたか―「NHK・ETV事件」の深層

番組はなぜ改ざんされたか―「NHK・ETV事件」の深層

 

 NHK・ETV2001の「戦争をどう裁くか」というシリーズの「問われる戦時性暴力」という従軍慰安婦を取り上げた番組が改ざんされたことについてのルポルタージュと考察です。

戦時性暴力については被害者が立ち直れるよう支援することが最優先ですが、この、戦争に巻き込まれて傷ついた女性を前面に押し出すのは、戦争そのもの(政治経済)から目を逸らさせるという副作用が伴っている。日本で左派が従軍慰安婦など、女性問題をやたらプッシュするようになったのがソ連崩壊後というのも、うーん……になる一因です。

これもある種の、弱者女性利用なのではないでしょうか。被害者女性を依り代にして普段言えないことを彼女らの口を借りて言うような面が、支援するエリート女性にはないですかね。実際に被害者を日常生活面で支えるというのとは、ひとつちがったものを感じるのですよ。

なにもしていないのにえらそうにいうな、と言われるのでしょうが、本を読んだ感想のひとつとして自分の日記に書いておきます。

 

 

 

日本画サークル 聖の会 作品展(ユープラザうたづ)

ユープラザうたづのエントランスホールでは、油絵やちぎり絵や書道、子どもたちの作品など、いろいろなものが展示されるのですが、いまは日本画の展示をしています。近寄ってみると油絵とはまだちがったものなのがわかります。「双鯉」という絵が印象に残りました。池の中を泳いでいる鯉を見た時の記憶がよみがえる、そして、ひとつではなく二つが寄り添って泳いでいる様子が、和やかな雰囲気を醸し出している。水の中に見えるあの鱗のかんじとか、絵が描ける人はすごいな。

「表現の不自由展・その後」

なんというか、その題名通りの展開になってきてますね……
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今回は、変なファックスが来たせいで、入場者の身の安全を最優先にした、ということでしょう。

美術館問題といえば次の本も読んでもらいたい。内容は、森美術館に抗議したのにまともに対応してもらえなかった側からの記録で、美術館に抗議するっていうのもいろいろあるわけですよ。過去の、抗議で展示中止になった事例も紹介されています。

 

森美術館問題と性暴力表現

森美術館問題と性暴力表現

 

 いま読み返すと、女性の間の格差、エリート女性と、さらに踏みつけられる弱者女性、といったことについて思いを巡らせずにはいられません。エリートでなければ入れない場所もなければならないというのは分かるのですが、傷ついた女性をサポートしている人たちがいることも忘れてはならないと思います。そして、ほんとうに踏みつけられた人は抗議の声すら上げられない、ということも。

普段ずっと意識しているのは無理でも、時にはこういう本を読んで、思い出してください。

 

『世界』2019.8 「アッラーとやおよろず」

 

世界 2019年 08 月号 [雑誌]

世界 2019年 08 月号 [雑誌]

 

 

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『世界』2019.8 師岡カリーマ・エルサムニー「すぐそこにある世界 第5回 アッラーとやおよろず」は、梨木香歩『椿宿の辺りに』を読み、日本の神話や古来からの言い伝えに材を取った一神教の世界観とは全く異質な筈の発想から紡がれた物語から何故かエジプトの懐かしい記憶を呼び覚まされた著者が、日本で言うところの八百万の神々を「精霊(ジン)」と置き換えると、中東の人にも日本人のいう「神(カミ)」がイメージしやすくなるのではないかと思い当たって、さて、という話でした。くわしくは『世界』を読んでみてください。
こういう話を聞くと私はうれしくなります。なぜならアラビア語を勉強しているからです。神道では祭事では祝詞を誦みあげますが、これは仏教のお経とはちがって日本の古文ですから、現代文にくらべれば古風な言い回しですが、聞いていて日本語としてそのまま耳に入ってくるのです。YouTubeイスラムの礼拝を見ると、クルアーンアラビア語ですから、たぶんアラビア語話者にとっては神道祝詞を聞いているのに近いのではという印象があるのですね。うつくしいけれども遠い世界に見えるものに、少しでも近しいものを感じると、うれしくなり、もっとわかりたいから勉強を続けよう! という風になります。
モスクの中に仏像みたいなのがないのも、神社に通じるものがあり、仏教よりはなじみやすい雰囲気を感じてしまうのです。
ただ、私は家が神道だから神道のものになじんでいるというだけで、きちんと神道の勉強をしたわけではありませんし、ほかの宗教についても同様ですので、たんに個人的感想しか出てきません。仏教よりはキリスト教イスラムに関心がわくのは、神、という概念に引かれるからでしょう。不可知をも含みこんだ世界を神が表すなら、既知と未知を常に意識する科学研究は神が寄りそう学問と言えますし、科学者が全能の慢心に陥りそうになるのを引き留められるのも神しかいないでしょう。
神、といえば、『ほんとにあった怖い話』で今も人気連載中の山本まゆりの霊能者・寺尾玲子の活躍を描くマンガがあるのですが、単行本『霊界への道標』では、寺尾玲子が霊能者になるまでの成長過程が描かれていて、子供のころから心霊体験をし、心霊に関する勉強をするようになり、様々な体験を経て、「神様というのは、祀ればご利益をくれるとか、そういうせこいものではない。形があるようなものではなく、本当の神様はもっと広くて大きい自然とか宇宙みたいな存在なんじゃないか」と気づく場面があります。これも、一神教の神の概念と重なるものがありますよね。
だんだん話が脱線してきましたが、私はリアルではオカルトな人と接するのは苦手なのですが、『ほんとにあった怖い話』みたいなマンガを読むのは大好き、とくに山本まゆりの寺尾玲子シリーズは、基本、悩んでいる人が救われる話ですし、寺尾玲子は霊に惑わされずにしっかり日常生活を送ってくださいというメッセージを送る人なので、安心して楽しめます。
それと、これは余計ですが、女子が心霊話を好きなのを嗤う男性は多いですが、男性が思っているように本当に信じているのかというと、それは微妙にずれている、男性には伝わりにくい感覚があるのかもしれない。男性はね、普段、女性を「心霊」のように扱っている、女性が話していることを霊が話しかけてくるもののように聞いている。女性もそのような在り方で男性にとりついて社会が成り立っている。だから、男性には女性という逃げ場というか糊代みたいに使えるものが日常あたりまえにあるんだけど、女性にはそれがないから、それで、女性には「心霊」が必要になってきてしまいがちになるんじゃないでしょうか。
暑い夏の夜、そんなことを考えてしまいますね。

 

 

 

HONKOWA (ほん怖) 2019年 09 月号 [雑誌]

HONKOWA (ほん怖) 2019年 09 月号 [雑誌]

 

 

# いま見返すと後部に謎の空白が! 編集で直そうにもどうにもならない orz





































































































































































「平和の少女像」撤去、そして「表現の不自由展・その後」が中止へ


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私的には、右翼のハートに火を点けるのは別の作品かなあと想像していたのですが、抗議がいちばん集中したのはこの少女像だったそうで、これは右翼に限らず多くの市民が反発したということでしょう。このところテレビのニュースでは日韓の対立が報じられていて、韓国でNOアベとか書かれたプラカードを持った大勢の市民が抗議デモしてる様子が見られますが、その日本版がこの少女像への抗議になったのでしょうか。

かつて展示場から撤去されたことのある作品を集めた展示会ですから、こういう出来事もその趣旨に沿った一幕になるということかな。リアルタイムで目撃! みたいな。

脅迫めいたものも届いているそうで、警備は厳重にして、無事にイベントが終了することを祈っています。

 

津田大介(ジャーナリスト)

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前から顔と名前は知っていて、漠然とマスコミ文化人の一人として認識していましたが、今回話題になったことで、調べて、ジャーナリストなんだと分かりました。世間から何周も遅れていますが、個人的には収穫となりました。

今回の騒動ですが、美術館問題のひとつではあるのですが、なぜかネット炎上に近い光景が展開されていて、これは津田大介がネット上で普段から目立っているからなのだろうか? ただし、わたしはツイッターを使っていないせいで、ネット上のキャラがよくつかめておらず、うかつに関連ツイートを見るとかえって誤解しそうなので見ないようにしています。

美術館問題としては、アートや法律の関係者がこれから解析してくれるでしょう。私が気になるのは、展示内容を見ると右翼方面からの抗議が来るのは容易に想像できるのに、脅迫されたから対処を検討中と言っているのを揶揄するコメントがけっこう出ていることです。暴力の裏打ちがある勢力から脅されて怯えるのはしかたがないでしょう。

アートというよりはジャーナリズム寄りの企画に見えるせいか、朝日新聞襲撃事件とか、過去の事件を思い出さされました。