横浜事件再審決定

横浜事件で再び再審開始/拷問で自白「無罪相当」 - 四国新聞社
四国新聞2008年11月1日号にはもっと詳しい記事が出ていました。そこから一部引用しておきます。

決定理由で大島裁判長は、1945年9月に有罪判決を言い渡した横浜地裁の審理について「拙速でずさんな処理」と認め、検事局を含む裁判所が「不都合な事実を隠そうとして記録を破棄した可能性がある」と司法の責任にも踏み込んだ。
元被告側の弁護士は「再審で無罪を勝ち取るのは難しいが、決定は無罪判決に等しいと考えている」と高く評価した。
決定理由では、取り調べを担当した警察官が、横浜事件の別の事件関係者に拷問を加えたとして有罪が確定している点を重視。「拷問は例外とみるべきではなく元被告らも受けたことが合理的に推認される」と指摘した。
その上で「国体の変革が目的だったことを認めた元被告らの自白は信用性がないことが顕著。自白だけが証拠だった確定判決の事実認定が揺らぐことになる」とした。警察官を有罪判決とした確定判決と元被告らの口述書などを無罪とするべき新証拠とし「再審の理由はある」と結論付けた。
事件の根拠とされた改造の論文は「共産主義を宣伝するものか疑問」と判断。共産党再建の謀議とされた富山県での会合も「慰労会」と位置付け、会合の写真を新証拠として採用した。
一方で決定は、大赦を指摘し再審公判では旧刑訴法の規定により免訴判決するほかないとした。
「百点満点だ 無罪等しい」 遺族ら喜び爆発
「無罪を勝ち取る」との強い思いが再び司法を動かした。有罪判決から六十三年。戦時下最大の言論弾圧とされる横浜事件で、再審請求を認めた31日の横浜地裁決定。「百点満点」「無罪判決に等しい」。元被告の故小野康人さんの長女斎藤信子さん((59)ら遺族と弁護団は喜びを爆発させた。
斎藤さんは午前十時前、小野さんの写真を手にした次男新一さん(62)、弁護団らとともに横浜地裁に姿を見せた。決定書を受け取ると、それまでの緊張した表情が一転して和らいだ。そして、決定書をじっと見つめ、確認するように「再審を開始する」と声に出して読み上げた。
(引用元:四国新聞2008年11月1日)

名誉回復までに六十三年もかかった冤罪事件。関連記事には小野さんの口述書による逮捕当時の特高警察官の激しい拷問の様子も書かれていた。差し入れた着物が血に染まって戻ってきたのを見て、家族は大声で泣いたという。
警察の違法な捜査は現在でもしばしば問題とされ、最近では志布志事件でも違法な取り調べが行なわれたことが明らかになり、その取り調べを行なった警察官が有罪となった。
また麻生宅を見に行こうというリアリティツアーの参加者が不当逮捕された事件も記憶に新しいところ。救援会ブログによれば、警察は逮捕者の一人に精神的拷問ともいえる虐待をし続けているということだ。
警視庁渋谷署取調官による人権侵害に対し、厳重に抗議する - 麻生でてこい!!リアリティツアー救援会ブログ
これまでも、市民運動に関わっている人が微罪逮捕というかほとんど言いがかりのような理由で逮捕され家宅捜査された例が週刊金曜日に報じられているのを読んできているが、大手メディアでこの種の出来事は取り上げられないままになっている。いまからでも遅くない。取り上げて欲しい。市民運動なんかに関わっていないから自分には関係ない、と思っている人も多いのかもしれないが、冤罪というのは痴漢などいろいろ起こっている。だから、警察の不当行為には抗議していけるようになっていないと困るのだ。