中前忠って?

はてなでいぱーいブクマされてた「On Off and Beyond」のページから、「?」になった部分。

1997年ごろ、日経新聞出版から出た「三つの未来−衰退か再生か、日本のシナリオ」という本のための「日本の将来シナリオ分析ワークショップ」というのに参加したことがある。これはものすごい大金かけて、いろいろな人を箱根に集めて討議したりして、日本の将来シナリオを3つ作り出したもので、その一部の討議に参加させてもらった。これをファシリテートしたのがGlobal Business Networkという、シナリオ分析の手法をいろいろな企業等に提供しているサンフランシスコのコンサルティング会社。で、その会社の経済史の専門家から

「国というのは、思いがけなくどこまでも悪くなっていけるものなのだ」

といろいろな国を例に挙げて説明されてはっと気づいた次第。国の場合、競合に買収されたり、国民を全員解雇(追放?)して解散したりできないこともあり、会社組織の比でなく、何十年、何百年と悪化の道をたどれるのであった。

国や組織はどういう時に良くなるか | On Off and Beyond

Amazon.co.jp: 三つの未来―衰退か再生か、日本のシナリオ (単行本) 中前 忠 (著)
"中前忠" で検索すると、次のサイトが出てくる。
NIER 中前国際経済研究所
NIERの会社概要のページから、中前忠著書紹介というのが読める。そこには、前出の『三つの未来−衰退か再生か、日本のシナリオ』と並んで次の著書が紹介されている。

「目覚めよ!日本 −ニューエコノミーへの変革」

英「インデペンデント」紙 ヘイミシュ・マクレイ氏との共著
大企業からスモールビジネスへ。デフレは100年続く。製造業、金融業、流通業の時代は終わった。銀行の全面国有化、大企業の徹底整理、大失業の試練を経て初めて日本経済が進化する。
−市場革命を成し遂げたイギリスを鏡に、日本の真の改革を大胆に提言。

1999年7月発刊 日本経済新聞社 1,600円

会社情報 - 中前国際経済研究所(Nakamae International Economic Research)

Amazonの商品の説明がもっとくわしく内容を紹介している。

Amazon.co.jp: 目覚めよ!日本―ニューエコノミーへの変革 (単行本) 中前 忠 (著)
商品の説明
ブックレビュー社
市場改革を成し遂げたイギリスを鏡に,戦後最大の危機に直面する日本の真の改革を大胆に提言する。
日本は第2次世界大戦後,奇跡の復興を遂げたものの,その成功体験がむしろ足かせとなり,オールド・エコノミーからニュー・エコノミーへの環境変化に対応できないでいる。本書は,その背景を分析しつつ,「抜本的日本改革の見取り図」を示す。

著者たちは,柔軟性という点ではあまり良い実績のなかったイギリスが経済環境の変化にどう対応してきたか,公共部門の改革などいくつかの領域でどのように主導的な役割を果たしてきたかを下敷きに,長い苦境から脱出するためには日本が何をすれば良いのかを解き明かしていく。「大企業からスモール・ビジネスへ」「デフレは100年続く」「製造業,金融業,流通業の時代は終わった」など経済の大きな流れを見据えつつ,銀行の全面国有化や大企業の徹底整理,また大失業を経て日本経済は進化すると大胆な見方を示す。

具体論には異論も多く出ようが,大局的に経済を眺め,長期的視野に立って日本のあるべき姿を考えるには大きな刺激となるだろう。 (ブックレビュー社)
(Copyright(c)2000 ブックレビュー社.All rights reserved.)


内容(「BOOK」データベースより)
市場重視の理念のもと、規制の撤廃、政府と企業の徹底した効率化を行って見事よみがえったイギリス、第二次大戦後、奇跡の復興を遂げたものの、その成功体験がむしろ足かせとなり、環境変化に対応できないでいる日本―。世界的なデフレ傾向の定着、アジアの台頭、グローバル化の進行という時代の大きな変化を見据え、日本は製造業を中心としたオールドエコノミーから、サービス業主体のニューエコノミーへと生まれ変わるべきである!日本の気鋭のエコノミストとロンドン在住の金融ジャーナリストが、イギリスの教訓を踏まえ共同執筆した、抜本的日本改革の見取り図。

どちらも十年以上前に出された本で、ネットでざっと調べてみた限りでは本としては賞味期限切れになってる模様なのだが、それならあの「On Off and Beyond」にあった「ものすごい大金かけて、いろいろな人を箱根に集めて討議した」というのは何だったのだろうか。いや、まあ、大資本を投入して超一流スタッフ集めて出来上がってみたら失敗作でした、なんてことは映画界にはよくある話だし、さらにその先の興行面での成功・失敗は、作品の出来とはまた別の話になるわけだけどね。
それにしても。"ジャーナリスト" "政治学者" "経済研究所" いずれもなんてことない普通名詞だけど、"国際" の二文字がついただけで途端にうさんくささが漂うのはなんでなんだろう。
じつは私はヘリコプターに乗って中華料理食べにいく落合信彦は大好きだったりはしてるんですけどね。ロマンス小説読むよりはノビーの本読むほうが楽しいな。だけど、この中前忠にはノビーみたいにエンタテーナーとして突出できるだけの力量は感じられず、そのためわたくし的には何の魅力もないオヤジにしか見えないんだよね。
私には価値がわからないけれど、"中前忠" で検索すると、評価してるらしい記事も出てくるし、本はあまり出さない方みたいだが現在も活躍中のようなので、日経の読者には今でもファンがけっこういる、ということなんでしょうか。
Global Business Networkのトップページも、左上側に出る画像が醸し出す雰囲気がなんともあやしくて、デザインこのままでいいのか、と他人事ながら心配になってくる。このコンサルタント会社はScenario Planningという手法が売りのようなんだけど、これって、占いにも西洋占星術とかタロットとか易とかいろいろあって、さらにたとえば西洋占星術でもやり方はいろいろあるとか、西洋占星術とタロットを掛け合わせた独自の方法でうちはやってますとか、そういう類の売りなんでしょうか。
「On Off and Beyond」でのGlobal Business Networkの評価はえらく高いようだけど、そう評価していると思しき当のブログ主が自身の体験談として「国の場合、競合に買収されたり、国民を全員解雇(追放?)して解散したりできない」から「思いがけなくどこまでも悪くなっていける」なんていう、こんなわかりきったくそあたりまえのことをそんな場所で聞かされたからといって、「はっと気づいた」と書いてしまうのは、いくらなんでもカマトトすぎるのではないか。カマトトではない、というのであれば、その場所では「どこまでも悪くなっていく、どこまでも、どこまでも、どこまでも……」と、参加者が「このままでは地獄に堕ちるかもしれない」とうっかり想像してしまうほど歪に強調されて唱えられていたのだろうか。
いろいろ無駄に想像してしまったが、しかし、あのブログからは、じつは何も見えてきませんけどね。その箱根の集まりの実態すらわからない。
だから、やっぱ、無料で誰でも見られるブログでは、書くとしたら大乗止まりなんだろうな、と。小乗知りたい人はセミナーに行かないといけないんだろうな、と。そしてさらに、金剛乗になると、「仲間」と認定された選ばれた人だけしか教えてもらえないんだろうな、と。
そういうことを思ったです。