『こいぬのうんち』 クォン・ジョンセン(文) チョン・スンガク(絵) ピョン・キジャ(訳) 平凡社

こいぬのうんち

こいぬのうんち

こいぬが石垣のすみっこにちいさなうんちをするところから始まるおはなし。
ちいさなうんちは、飛んできたすずめに「きたない」といわれ、通りかかったにわとりの親子には「なにかのかすみたいね」と無視され、いっしょにはなしをしていた土くれは畑の持ち主に引き取られていき、ひとりぼっちで取り残され、自分を卑下して落ち込んでいきます。
そこに、たんぽぽが現れます。春になったら私は花を咲かせるのよ、でも、そのためにはあなたの力が必要なの、と。
ひらがなばかりで書かれた小さな子ども向けの絵本ですが、おはなしはオペラのようなクライマックスを迎えます。石垣のすみっこで、小さなたんぽぽが力強くほこらしく天に向かって花を開いて終わります。
絵の色合い、こいぬのうんちの表情がすごくいい。たんぽぽの強靭な美しさもびんびん伝わってきます。