DVDで鑑賞。
冴えない小学校の教師がゼブラーマンになって地球を救う。
2010年、銭湯。髪を乾かしている人の前を何故かシマウマが横切る。シュールな一瞬。風呂上りの人たちが眺めるテレビでは、東京都八千代市で数々の異変が起こっていると伝えていた。川を上る一万匹のアゴヒゲアザラシ、巨大ザリガニ大発生、猟奇殺人の頻発。異常なニュースをクールにを受け止める毛じらみを抱えた男は、同僚と職場へ向かう。防衛庁は既に異変が何を意味しているのかを察知しており、特殊機密調査部を設けた。一方、八千代市の片隅でミシンを使う男がいる。ニュースで異変が伝えられていても、住民はとくに変わらぬ日常を送っていた。
ミシンでゼブラーマンの衣装を手作りしていたのは、小学校教師・市川新市。ゼブラーマンは彼が子どもだったころ見ていた特撮テレビドラマ「ゼブラーマン」のヒーロー。異常な低視聴率のためシリーズ途中で打ち切られた番組なのだが、市川はゼブラーマンが大好きだった。
市川は教師だが暗いと生徒からは人気がなく、同じ小学校に通っている息子はいじめられたりしている。上の娘は援助交際、妻は不倫中。元気のない息子のことを気にかけつつも、自分も元気はなく、ゼブラーマンの衣装をつけるのが唯一のなぐさめ。
そんな彼の前に、車椅子に乗った転校生がやって来る。転校してきた車椅子の少年はゼブラーマンのことを知っていた。インターネットで見たのだという。
一方、町ではそこかしこで事件が起こっていた。突然凶暴化する人が異常発生しはじめていた。ゼブラーマンのコスチュームをつけた状態で外に出たとき、市川は偶然暴行魔と遭遇、そしてなぜかその暴漢を倒してしまう。市川の目覚めの時が迫っていた。
宇宙人が人間に寄生して地球を乗っ取ろうとしている。ゼブラーマンがそれを阻止する。そういう話。しかし、全編、映画そのものを観てもらわないとわからないグルーヴが脈打っている。冒頭からの場面ひとつひとつが積み重なって流れをつくり、日本のどこにでもある商店街にゼブラーマンが登場して敵をやっつけてしまう光景がごく自然なものと映る、そんな世界が現出してしまう。このグルーヴ、P-FUNKに通じる。おかしみがいいかんじで見ている側をのせつつ、けっこう暗い現実をのりきっていってしまう、そんな世界。
変態的ビートで奏でられるSFヒーローもの、そして普通の感性がありすぎて損をしがちなおじさんを元気づけてくれるかもしれないおはなしなんじゃないかな。
市川=ゼブラーマン役の哀川翔、いい。哀しみを知る男に見えるから。だから、ゼブラーマンが、リアルに見えてくる。市川の夢の中でゼブラナースになってしまう鈴木京香も素敵。きれいなのはもちろんだけど、まじめな話をしているとき怪物が突然目に入って「はっ」となるときの表情とか、その場面の流れにぴったりはまる決まり方。いい。渡部篤郎もうまいです。ほんとに痒そうでした。
特撮は昔の怪獣映画や怪奇映画を思い出させる楽しさ。ラストのゼブラーマンと宇宙人の死闘、色合いが30年以上前の少年マガジンのカラー頁ぽいなと思った。ああいう色の絵で、ムー的なロマンを描いてくれていましたね。
市川が手作りしたゼブラーマンの衣装は、黒と白で私にはけっこうおしゃれっぽく見えたんですが、私自身はいわゆるかまやつ女なので、このへんはあれだね、他の人、ほんとにおしゃれな人にはどう見えてるのかわからないなあ。着てるのが哀川翔だからよく見えてるのかもしれないし。
現在、続編となる「ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲」が公開中とのこと。
http://www.zeb2.jp/index.html