大阪朝日新聞社会部より貴重な報告

【Journalism】7月号より 「橋下現象」をどう報ずるか 稲垣えみ子
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/special/2012070900007.html

橋下徹大阪市長は、記者会見ではとことん記者につきあい、ツイッターでもつぶやき続け、しかもその内容が物議を醸すホットなものだから、彼の動向を追いかけると橋下記事の量は増え、しかし報じなければいいのかというと、国政にも影響を及ぼしかねないホットな存在故そうはいかない。そして、どんなかたちであれ報じれば、橋下シンパ、反橋下両方から抗議の投書か届く。
どないせんちゅ状態で、試行錯誤を繰り返し、読者の反響から現在の朝日新聞が大衆からどう見えているのか、そういう立場に置かれていることを踏まえて新聞として何ができるのか、真摯に考え取材を続ける記者からの現場報告。
読んで感動しました、取材して伝えてくれるのはやはり新聞記者。
ところで、大阪社会部の現場からの危惧の念とも見えるくだりもあるんです。

 いま朝日新聞では、橋下人気が国政に影響を及ぼし始めていることもあり、橋下氏に関する記事を全国で掲載していくことを紙面の「ウリ」にしようという機運がある。大阪発の記事が東京で掲載されるハードルの高さを思えば、大阪のデスクにとってはまことにラッキーな機運であり、ありがたいことである。

 だがしかし、正直、とてもじゃないが諸手を挙げて喜ぶことはできない。前述の現象が示しているのは、橋下氏はそんなに甘い存在ではないどころか、諸先輩たちがつないできた新聞の歴史にピリオドを打ちかねない人物ということだ。生きるか死ぬかの闘い―おおげさではなく、日々そう思い知らされている。

http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/special/2012070900007.html

橋下氏が甘い存在ではないとはどういういことかは、本編を読んでいただくとして、うーん、東京本社の雰囲気には、橋下出すと売れそうだからがんがんいけ! みたいなノリがあるのかもしれませんねえ。大阪の現場で取材して書いてる人たちの経験が活かされればいいんですけれども、まあ商業紙ですし、売れないと困るしねえ。
宅配は批判されているけれども、大新聞のいい部分を支えている面もあるでしょう。これからはちがう方法を考えなければいけないのかもしれませんけれども、報道は手間と時間とお金がかかるし、記者を育てるのも修業できる場がないとむずかしいのではないか。
朝日新聞が代表する良識についてはいろいろ思うところもあるのですが、とにかく、大阪の記者ががんばってくれているのは心強い。がんばれ、朝日!