ニュースの天才

DVDで鑑賞。
捏造記事を書き続けて人気を得た若手記者の話。
ティーブン・グラス(ヘイデン・クリステンセン)は、権威ある政治雑誌『ニュー・リパブリック』の最年少の記者だったが、このところ立て続けに話題を集める記事を書き、注目される存在となっていた。従来のお堅い政治記事とは一味ちがった切り口とユーモアが人気で、グラス自身の取材によるスクープばかりだった。職場で周囲への気配りも怠らないグラスは記者仲間にも受けがいい。新しく編集長になったチャック・レーン(ピーター・サースガード)は前任者にくらべて堅くて面白味が欠けると記者たちから見られていたが、グラスはレーンにも愛想よく接近していく。
しかし、グラスの書いた「ハッカー天国」という記事に不審な点を見つけたオンラインマガジンの記者が現れ、グラスの記事の真偽を探ろうとし始める。……
実話が基になった話だそうで、雑誌編集や取材記者の内幕が見られるおもしろさもあるのだが、誠実そうな外見のまま捏造記事を書き続けるグラスという主人公を描いた映画だった。意図的に詐欺行為を繰り返すというのとはちょっとちがった天然系、悪気がなさそうなのが余計始末が悪い、そんなかんじ。レーン編集長に言い訳をする様が小さい子供がウソをごまかそうと必死になっているように見え、普段の記者仲間とつきあう様子からも、ジャーナリストとしての野心というより、周りの人に好感を持たれたいという願望から、記者としておもしろい存在になりたいとなってしまっているような、根はいい人なんだろうけどなんだかなあ、という、そういう主人公になっていました。
全体の流れがやや平板な気もしましたが、記事の裏を取る作業が描かれ、役者はうまく、特にレーン編集長を演じたピーター・サースガードの好演が光ります。
このおはなしは1998年の出来事が基なんですが、そのころとくらべて飛躍的にインターネット利用者が増えている今から見ると、この映画の中のネット利用の光景は牧歌的な眺めにも見えました。