- 作者: 朝日新聞取材班
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/06/27
- メディア: 単行本
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- プロローグ 安倍首相@エルサレム
- 湯川さんの拘束
- 後藤さんのシリア入り
- 妻へのメール
- 中東の悪夢
- 翻弄
- 渦中のヨルダン
- 連鎖する死
- 幕引き
- エピローグ 2人の足跡
- インタビュー
- あとがき
- 関連年表
- 資料(邦人殺害テロ事件の対応に関する検証委員会 検証報告書[要旨])
題名通りの内容です。事件の経過と共に、2015年1月20日に日本のテレビニュースでも流されたISIS動画に映っていた、湯川さん、後藤さん、ジハーディ・ジョンのプロフィール、そして人質殺害という結果に終わったこの事件を検証して得られた今後活かされるべき教訓。日本はどう中東に関わればよいのか、邦人救出のためにどういう準備が必要なのか、邦人保護を理由にどこまで自衛隊が活用されるのが適当か、など。
くわしくは、本書をお読みください。
安倍首相は、イランとの間で良好な関係を築いてきたように、中東とも日本は欧米とはちがった立場から友好関係を築きたいと考えていたそうで、その考えはいいと思いました。演説でISILと名指ししたのはまずかったのではないかと言われるとそうかもしれないのですが、とにかく難民への人道支援をしたいと表明したのですし。
ただ、人質救出のための交渉は、フランスやトルコのような裏口があってもいいのでは。
この人質事件に関する限り、主体はISISでしたね。彼らは安倍首相やヨルダン国王の動向を調べていて、テレビのニュースで首相や国王が報道されるタイミングに合わせて人質動画をネットで公開していました。ISISはマスメディア上で自身の姿を目立たせることで誇大な存在感を示し発言力を得る、という、20世紀後半の先進国の若者向けポップスターがやっていたのと同様の手法で、自らの影響力を増してきました。芸能人とちがうのは、暴力の裏打ちがあるということかな。真正ハードコア路線ですね。そのせいで、疑似政府にも見えてくるわけですよ。実際、支配地域は統治しているそうですし。
ISISは20世紀の先進国から刺激を受けたアラブの若者のサブカルチャーなのかもしれません。(ちょっと、ナチがワイマール共和国のサブカルチャーぽく見えるのと似てるのかな?)
そして、たしかにISISには21世紀だから発芽した何かがある。無視できない何かが。
それが何かがわかれば、わたしたちはISISを必要としなくなれそうなのですよ。
こういうとおこられそうだが、いまはわたしたちがISISを必要としてないですか? 空爆する側にいるわたしたちが。