週刊金曜日1074号の四方田犬彦のエッセイを読んでふと思ったこと

週刊金曜日 2016年 2/5 号 [雑誌]

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四方田犬彦 犬が王様を見て、何が悪い? vol.33
みんながきみと
知り合いになりたがっている。
だけど、わたしは
きみに関心がない。

わりと最近、ツイッター経由で話題になった脅迫事件のニュースを見た上での感想が基になったエッセイ。こういうのはとにかく本文を読んでもらうしかないので、ぜひ週刊金曜日で四方田のエッセイを読んでもらいたい。

で、以下は四方田のエッセイを読んで私の頭にもやもや浮かんだことのひとつ。

はすみとしこが難民を揶揄したとされるイラスト。
あれが騒ぎになったのも、まず、ツイッターで「こんなこといってる人がいる!」と、リンク貼ってツイートした人がいてね。それがリツイートされて「まあ、ひどい!」「しんじられない!」「差別だ! 差別だ!」「ヘイトスピーチよ!」「許せない!」と、どんどん拡散されていったのよ。そしてなぜかいつのまにか、はすみとしこはある写真の少女本人を悪意を持って叩いたことにされてしまった。私には当のイラストは写真を基にしてはすみ流の絵をこしらえたものにしか見えなかったので、人から人へと悪口が伝わっていく際に起きる怪現象がツイッターで可視化されるのを目撃させられたような気分になった。
そして、そうやって拡散されたおかげで、はすみの絵は大勢に見られることになり、英語のツイートで英語圏の人たちにまで伝えられていったのだった。
こういうことはツイッターというサーヴィスがなかったころからネット上ではよく起こっている、と言われればそれまでだ。しかし、たとえば昔の2ちゃんねるはその場自体アングラ臭が濃く、2ちゃんねるに集まってくる人たちもそのことをよくわかっていた。あれからインターネット利用者が増加し、ツイッターにはもうアングラな雰囲気はない。律儀な主婦や健気な独身女性が井戸端会議するのに適した場に見える、それが今のツイッターではないだろうか。
そして、「まあ、ひどい!」「信じられない!」「こんなことがあっていいのか!」「許せない!」と言いながらエログロネタを消費するのは、なんといいましょうか、女性週刊誌的作法ではあるな、と。
大衆誌だと、エログロは下品で恥ずかしいからこっそり一人で楽しみましょうね、というのが送り手受け手双方に嗜みとして共有されてるってところがないですか? 大衆誌のメイン読者が男だったことを考えれば、そういうのもいわゆる“男の嗜み”だったのかもしれませんね。
まとまらなくなってきたので、このへんでやめますが、ツイッターでぽんと投げ出される「これひどーい!」には、うかつに飛びつかない方がよいのではないか、と。せめて、すぐリツイートするのは控える、とかね。
まあ、私はツイッター利用者ですらないし、ツイッター見なければそれで済むことではありますが。
(時々、はてなブックマークに上がってくるツイッターのまとめから見るのがほとんどだから印象が偏ってるのかな? はてなブックマークが独特に偏った場所ではありますからね……)