アーロと少年

  • 2015年、アメリ
  • 原題:The Good Dinosaur
  • 監督:ピーター・ソーン
  • 脚本:メグ・レフォーヴ
  • 出演:アーロ(石川樹)、パパ(山野井仁)、ママ(安田成美)、ブッチ(松重豊

吹き替え版で鑑賞。
家から離れてしまった子供の恐竜が帰郷する。
アーロは兄姉より体が小さく、パパは心配しながら成長を見守っていた。ある日、家族のために貯蔵している食料をたべている少年を見つけ、追っているうちにアーロは川に落ち流されてしまう。どこともわからない遠方に流れ着いたアーロは、少年と共に、家を目指す。
冒頭、恐竜たちが暮らす地球へと大きな隕石が向かうのでどきっとしましたが、直撃は起こらず、恐竜たちが一瞬巨大な流れ星に目をやって、また平穏な日常に戻ります。
おはなしの世界では、この恐竜たちがアメリカの大地で開拓民のような暮らしをしています。セリフを喋るのは恐竜。人も含め哺乳類はことばをもたない存在です。アメリカの大自然が美しい。
物語はアーロのひと夏の成長を描いており、アーロのお供をする少年は、人間が主人公のおはなしだと犬や猫、E.T.などの役回りを担当しています。鼻の利く少年はアーロにスポットという名前をつけてもらい、いっしょにアーロの家を目指すことになります。
アーロも少年恐竜といっていいので、少年二人のロードムーヴィー風、しかもちょっと「不思議の国のアリス」のエコーも感じられました。
川をたどれば帰れる、という、パパの教えにしたがって家を目指すアーロですが、そのお供となる少年はアーロがパパのいいつけにしたがわなかったから出会えたよき相棒だったりします。そのへんがおもしろいですね。
少年と恐竜といえば、「ウォーター・ホース」ではクルーソーが少年を背に乗せて湖底の世界を見せに連れて行ってくれていましたが、この映画ではアーロが長く伸びた首を活かして少年に雲の上を覗かせてくれていました。いいねえ、うらやましい!
やがて、少年は人の世界に戻ります。アーロのいる絵本の世界から現実の人の世に入っていくようにも見える場面で、見送るアーロもちょっとさびしそうなのに救われました。少年もアーロのことを忘れないでしょう。
新年度にふさわしい旅立ちの物語でした。