『世界』で新連載 杉山春「自死は、向き合える」

世界 2016年 10 月号 [雑誌]

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杉山春「自死は、向き合える」
第1回 「事故物件」高額補償はなぜ起きるのか

自死に関する新連載でまず取り上げられたのは、最近、テレビやネットでも話題になっている「事故物件」。具体例として、アパートで一人暮らしをしていた身内が自殺し、そのショックでまいっている最中にアパートの管理者から高額の損害賠償を迫られ、国民生活センターのホットラインやグリーフワークの支援団体、自殺予防総合対策センターなどに相談して、なんとか家主側と折り合いをつけ賠償を支払った人たちのことが語られる。しかし、自殺された後、家主も困る現実があり、家主側の立場に立って相談にのるところや、家主向けの保険があることも述べられる。
なぜ、こういうトラブルが起こるのか。それは、日本では自殺を禁忌とし、触れたがらない気風が根強いからだ。
自殺予防総合対策センターの人が言う。
自殺対策基本法が出来て、一番変わったことは、『自殺』という言葉を公に出せるようになったことです」(『世界』no.887 p.212)
それまでは講演を依頼されてもタイトルに「自殺」という言葉を入れないように要請されることがめずらしくなかったそうだ。
自殺対策基本法が施行されて十年。日本社会は自死に対しての見方を変えることができたのか。
この連載はその現状を追う模様です。もう月が変わり、今月には11月号が出るわけで、遅い紹介になってしまいましたが、ぜひ連載を読んでみてください。