- 作者: ベロック・ローンズ,加藤衛
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1987/01
- メディア: 新書
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切り裂きジャック事件にヒントを得て書かれたという英国ミステリ。主人公夫妻が元召使ということから、ヴィクトリア朝の召使の様子がうかがえたりするおもしろさがあります。下宿人が怪しいなあと思い始めた夫妻を描く心理サスペンスの趣。夫妻と夫と先妻の間にできた娘、そしてかつて夫妻の奉公人仲間で今は刑事となった青年が織り成すドラマも登場人物がすべて節度ある市民なのでほほえましい印象、事件については新聞記事の一節や青年刑事の口からあらましが語られるのでどぎつく描写することを避けながら怖さを伝えています。こういう小説はゆったり楽しめていいですね。
古き良き時代の英国ミステリ。戯曲化され、映画化もされています。そのうちのひとつはヒッチコックによるサイレント映画。脚色されていますがさすがヒッチコック、YouTubeで見られます。