天安門から三十年

デモ隊が武力で制圧された悲劇はそれとして、その後の中国の大発展を見ると、中国政府の方針がまちがっていたとはもう言えない。中国が体現した民主化しなくても経済発展は可能です状態は、日本のような体制の国ばかりではないのだから、一部の国には希望の光になってもいるのだろう。そして、すでに日本より強国なのは確かなので、そのせいかウヨばかりではなく一般人の間にもごく一般的に超大国中国への反感があったりする。そこまでになった中国は、かつてソ連が担ったアメリカの影としての役割を十分に果たせそうだ。アメリカは影を必要としている。残念ながらそれが現実だ。アメリカが男で中国は女だとたとえてもいい。男を真に支えられるのは、その男がぜったいに理解できない自分と同一視したくない女だけなのだ。

これまで中国の安価な労働力を利用してきたいわゆる先進国が何を言っても中国には刺さることはないだろう。被害者意識を募らせるだけかもしれない。映画「ボヘミアン・ラプソディ」は、冷戦時代末期を舞台にした時代劇で、クイーンのファンにとってうれしい音楽映画ではあったが、同時にかつての西側先進諸国で青春期を送った世代には古き良き時代を思い出させる作品でもあった。しかし、東側諸国の人や第三世界の人にはそのようなノスタルジアはないのではないだろうか。彼らは同時代を異なる世界で生きたのだから。