『世界』2019.11 no.926 師岡カリーマ・エルマーニ「人と本」

 

 

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エジプトやロシアで凶悪犯として収監された男たちが囚人となってから読書に目覚め、読書することで魂を救われ、本を心の拠り所として生き直す姿を見て、書物の力とそれによって変わり得る人間について語っています。くわしくは『世界』no.926を読んでみてください。

刑務所という俗世間から遮断された空間は僧院にも似て、勉強するには良い環境なのでしょう。日本の連続殺人犯吹上佐太郎も、小学校にもろくに通えず文盲に等しかったのですが、刑務所内で読み書きを習ってりっぱな辞世の句を書きました。

ひきこもりになっている人はチャンスなのかもしれないですよ。本を通して遠い世界にいる人と出会って、俗事に惑わされず勉強に打ち込める。そうして生まれ変わって外に出れば、外の世界の見え方がこれまでとはちがってくるでしょう。インターネットでNHK高校講座を視聴できます。ラジオ語学講座のストリーミングなどもありますので、活用してみてね。

付記
本は毒として作用する場合もあって、本を読まずにはいられない、本しかすがるものがないような時期にはまっている若い人が本の毒に当たると重篤になりがちです。それを乗り越えて実にかえるのが読書するということだ、と言われたりしますが、今はインターネットで他の人の本の感想を読んだりSNSで意見交換したりすることで解毒して、症状を緩和することができそうです。インターネットは弊害がいろいろ言われていますが、よい面もいっぱいありますよね。