コウモリ

 

世界 2020年 08 月号 [雑誌]

世界 2020年 08 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/07/08
  • メディア: 雑誌
 

 

『世界』2020年8月号の特集1は「グリーン・リカバリー」。
その特集記事の中のひとつ、湯本貴和「コロナ危機は生態系からの警告である」より、コウモリに触れた個所を引用しておく。

 


 ここに述べたように、野生動物のなかでもコウモリの仲間が、多くの人獣共通感染症をもたらすウイルスの保有宿主となっている。いまだ開発途上国では大きな脅威となっている狂犬病保有宿主も、コウモリだとされる。このことには、いくつかの進化的あるいは生態的な要因が考えられる。まずコウモリの多様性である。コウモリの種類は哺乳類全体の約二割を占め、地球上のさまざまな地域に生息している。また、コウモリは、哺乳類の進化のなかで基にあたる祖先的な位置に近く、多くの哺乳類と共通の遺伝的な基盤を持っている。さらに、洞窟や樹洞などに集団でねぐらをつくる種が多く、そこでウイルスの集団感染が起こる可能性が高い。哺乳類のなかで唯一飛行性を獲得しているので、いったんウイルスに感染すると、排泄物などを通じて広範囲に感染を広げると考えられる。

(引用元:『世界』no.935 2020 August p.110)

 


 では、人獣共通感染症防止のために、自然宿主である野生の哺乳類を「敵」として撲滅することが望ましい解決策なのだろうか。今回の新型コロナウイルスに関しても、世界各地で自然宿主とされるコウモリへの迫害が起こっている。国連環境計画(UNEP)は、コウモリが直接、新型コロナウイルスのヒトへの感染を広めている事実はないとしたうえで、コウモリは花粉媒介や種子散布などで有用植物の繁殖を手助けし、害虫を捕食することで駆除するなど、年間数千億円相当の利益を人間社会にもたらしているとしている。コウモリの殺戮は、新型コロナウイルス感染症の拡散には何の抑制効果を与えないばかりか、生態系にコウモリがいることによって得られる経済的価値を大きく損ねることになると警告している。

(引用元:『世界』no935 2020 August p.113)


コウモリ、といわれると、以前テレビ番組「リチャードホール」で見たコントの中の、「コウモリ、あいつら筋肉がない!」という台詞を思い出してしまうのですが、調べてみると、たしかに後ろ脚の筋肉は退化しているようですね。ぶらさがるためにひっかけるフックみたいにしか使ってないのか?(下の記事、参考)

www.asahi.com

 

感染症が人間社会にあらわれるのは、人間の行動範囲が広がって、それまで人が足を踏み入れなかった場所にも入って行って生活圏にしてしまうのがきっかけになっており、それまで平穏に暮らしていた動物たちにしてみれば人が外から乱入してきて生活圏を乱されて、それでウイルスも乱世モードなって生き延びようとしているのかもしれませんね。人間の方もそうなるとおめおめ死ぬわけにもいかないので、また対抗策をとるわけですが、とにかくコウモリを退治すれば済む話ではないようです。

 

そして、次のニュース。

www.shikoku-np.co.jp

四国新聞2020年7月29日号ではQ&A付きの大きな記事で出ていて、私もこういう話が好きなのでわくわくしながら読みました。

が、時期が時期だけに、SFホラー脳も動き出して、これからとんでもない微生物が現出して、また人間大パニックになったりしないだろうか? と妄想も湧いた。

 

地球から見ると、人間も微生物みたいなものなんでしょうね。人間は地球を必要とするが、地球は人間を必要としていない。