あけましておめでとうございます。今年もよろしく💕
さて、お正月にこの本を読みました。
もくじ
インドは古くから開けた地域ですから、神話もほんとに大昔のものから、次の時代になってのもの、そしてやがてヒンドゥー教として形作られるものへと連綿と続いているのですね。宇宙の一つの最高原理が、創造・維持・破壊と三つの面に分かれて大本の神として現れ、そしてその神々は時によってさまざまに姿を変え、また世界の構成要素として多様な神々や悪魔(これは日本でいう鬼に近い、つねに”悪”なわけではない)がおり、それが人間とも関わることで世界の創世が起こる、といったかんじですか。
解説では、各国の神話とも比較して、人類の神話の類型や地域ごとに異なるのはなぜかといったことも説明されています。もっとも、まだはっきり分からないことも多いみたいですけど、神話はそこがいいんじゃない! ですよね。
神話のひとつの類型としての「世界卵型」ですが、卵がかえって生き物が現れるのを見た古代人がそこに神秘を感じたのだろう、とあって、あ、そのかんじ、わかる! となるのは、自分が小さい子供だったときのことを思い出すからです。神話や大昔の伝説にはそういうところがありますよね。神話、となると、大昔の人が自分を取り巻く外界をどう把握しようとしたかが伝わってきて、これいまでも、じつは自分の日常で自分が周囲の動きを分かろうとするときにやっていることとつながってきます。科学的だなんだといっても、ものの感じ取り方や考え方は人間あまり昔と変わってないところがあるなあと思う。
著者は、岩波ジュニア新書で『世界の神話』という本も出しているのですが、今回『インド神話』をまとめたのは、日本ではインドの神話があまり知られていないからだそう、たしかにギリシア神話とか中国の伝説にくらべるとインドの神様の名前は日本人にはなじみが薄いですね。でも、この本でもしばしば述べられているように、閻魔さまとか帝釈天とか吉祥天とか、元をたどればインド神話に行きつくものがけっこうある、HONKOWA連載中の永久保貴一「阿闍梨蒼雲 霊幻怪異始末」でも、日本でよく見られる仏像(うち神道なせいで仏教というより仏像になっちゃいます、仏教に疎いから)についての説明で、これは元はインドの神様で、というのがよくあります。中国経由で仏教のものとして日本には流れ込んでいるんでしょうね。宇治拾遺物語にもインドが舞台の物語があったような。なんというか、一見なじみがないようで、じつはカレーのように日本に土着化している面がありそうなんです、インド神話。
紹介されているインド神話ですが、スパイシーで甘味も濃い、色彩も派手でとってもスペクタクル。スズキコージの挿絵がはまってます!
神々はよく大群を率いて戦争しますし、またなにかあると山にこもって苦行するんですね。悪魔がつかさどる分野もあり、また神と悪魔の祖父にあたる神がどちらにも手助けしたり、善悪正邪が人の頭で割り切れるようには単純ではない世界そのものが描かれている。場面場面では、「新世紀エヴァンゲリオン」の一場面とか、わたしたちがSFやファンタジーで見たことのある場面を思い出させる光景に出会ったり。……やっぱり人の想像力というかものの考え方って大昔からあまり変わってない部分があるってことなんでしょうね。
おもしろいのでみんな読んでみてね!
岩波少年文庫は、むずかしい漢字にはふりがながついているし、文字も大人向けの新書や文庫にくらべると大きめ、ラインナップも充実しているので、大人にもお勧めですよ。
あと、ちょっと思い出したのは、ひさうちみちお「オシャカ」。おしゃかさまとヒンドゥーの神様を(言い方はわるいけど)ネタにしたマンガでした。インド人にはうかつに薦められない一品かもしれませんが、マンガとしてはおもしろかったので、紹介しておきます。

