「人口減少ボーナス」

 

『世界』2021年5月号(Vo.944)

『世界』2021年5月号(Vo.944)

  • 発売日: 2021/04/08
  • メディア: 雑誌
 

 『世界』5月号では、人新世(ひとしんせい)に関する記事がいくつか出ていますが、そのひとつJ.A.トーマス他「人新世」に出てきた日本学者ピーター・マタンレのいう「人口減少ボーナス」(p112)、これは人口減少は人新世を生きるためにはプラス要素になり得るとのこと。くわしくは『世界』5月号を読んでみてください。

 

1950年代から急速に発展した人間の大量消費社会が既に地球全体に影響を及ぼすもっとも強い因子になってしまっているという「人新世」、われわれ人類を含めた地球という生態系を維持するためには、これまでの人の生き方、経済活動の仕方を改めなければならない。各国単位ではなく、経済活動でつながっている地球全体で取り組まなければもう間に合わない。そういうことのようです。人間は地球を適切に管理しなければならない、と。

 これまでのやり方ではもうだめだ! となると、お先真っ暗な気分になったりもしますが、「人口減少ボーナス」という言葉が出てきているのを見て、これまではマイナスだと思っていたことが、逆にプラスに転じるかもしれないという気配もありますので、落ち込みがちな人は、そうなる自分の思い込みから脱するきっかけになるかもしれませんよ、「人新世」。『世界』で読んでみてね!

 

さて、人が生きるために地球全体を管理する、とかいわれると、星新一『ボッコちゃん』所収の「生活維持省」を思い出します。というか、私の引き出しには星新一くらいしか入っていないので、何か見ると星新一思い出すわけですが、大人になってから読むとまた味わい深い、子どもの頃は気がつかなかったスゴみに気づく、星新一。おすすめです。

 

ボッコちゃん(新潮文庫)

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