『世界』2022年2月号 鴨志田祐美「再審制度の改革はなぜ必要なのか」

 

犯罪実話マニア必読。特集2「日本司法の”独自進化”」の中の一編で、特集2全体が必読物件になるでしょうが、中でも「再審制度の改革はなぜ必要なのか」は、マニアにはぐさっと刺さりますよ。以前から犯罪ものの渋い記事がよく出ていて、これをきっかけに犯罪実話マニアの間に"オレたちの『世界』"観が定着することを期待します。

 

『世界』1月号・2月号と二回に渡って連載となった米山リサと板垣竜太の対談「共振する日米の歴史修正主義」というのもおもしろかったです。産経新聞系の媒体を中心に展開されるある種の言説が、どのように生成・流布されていくか。グローバルにつながるウヨサークルと、それを後押しするネオリベラリズム

 ネットだと、ウヨの活動はYouTubeが主流になってきてるのですね。

 「歴史修正主義」については、学者が誤りを指摘して正すことはできますが、そういうのをあまり気にしないで受容する層がいる。

 ちょっと話がずれますが、日本のウヨ雑誌が、ツイッターなどで目立ついわゆる”出羽守”と呼ばれるような海外在住の既婚女性を登用するのが目につきますね。あれは根本には映画でならギャラが安い若手を起用するロジャー・コーマン方式があるんだろうなくらいに見ていますが、だからあの手のウヨ雑誌は体質としてサブカルなんだろうなっていうのがあって。『世界』みたいな雑誌とはちょっとちがうのよね。

 それで、多少あれでも表現の自由だから~といういことでやっていけているんですが、辛淑玉は「ニュース女子」事件の際、あの手のウヨ雑誌に自分に関するデマを書かれたことで一時ドイツに避難しなければならなくなるほどの実害が出たそうですし、いったん雑誌や書籍、新聞サイトでもいいのですが、そういう場所に掲載されると、「ほら、こういう記事が出てる」と、ウヨがツイッターで持ち出して、なんか公然と語られているように見せられていくんですね。

 そういうことを、もう一度見直しておこうと思いました。漠然とネットを眺めるだけではなくて。