八代亜紀 パリでコンサート

 

鈴木仁「セーヌ河岸便り 11 演歌が揺さぶるフランス人の郷愁」では、昨年パリ日本文化会館で行われた八代亜紀コンサートが取り上げられていました。2日間にわたって行われたコンサートはいずれも満員で、フランス人の観客が半分以上。大盛況だったそうです。

 なぜ今回、八代さんのコンサートがこれほどまでにフランス人の心を揺さぶったのでしょうか? もちろんアーティストとしての八代さんの力量や優れた楽曲の力があるのは間違いありませんが、それとともに「昭和」がひとつの鍵となっていたのでは、と筆者は考えます。
 フランスではこれまで主に、平成以降に製作された漫画やアニメといった日本のポップカルチャーが若者の人気をけん引してきました。それが最近、それよりひと昔前、つまり昭和の日本の大衆文化に対する関心が広がっていると感じます。
 実際、今回のコンサートでも昭和のフォークソングの名曲「山谷ブルース」や、八代さんみずからが「ド演歌です」と紹介した、そのものずばりの「居酒屋『昭和』」という歌も歌われ、大きな拍手を受けていました。コンサートのあとで話を聞いたフランス人の観客のひとりは、八代さんの歌に「第二次世界大戦前の(日本で言えば昭和の前半の)フランスのシャンソンに通じるものを感じる」と話していました。
 パリ日本文化会館では全50作品を上映して大人気を博した映画「男はつらいよ」の魅力も、やはり昭和という時代の下町の人情や日本各地の美しい風景ですが、若者も含めたフランス人の観客からは「違う国の風景や人情なのだが、なぜか懐かしい」という感想が多く聞かれました。
(引用元:『まいにちフランス語』2023年2月号 p.105)


くわしくは「まいにちフランス語」2月号で読んでね。

パリでも「昭和」が受けている? 昔、ある種の映画について“大正ロマン”という言い表し方がされることがありましたが、その場合は懐かしいというよりはレトロでモダンな珍味というかんじだったかな。いま、日本でもよくいわれる「昭和」というのは、懐かしいという感じと何が合わさっているんだろう?

現実の過去というより、過去の幻影から想像される異世界なんだろうな。ちょっと転生してみたくなる異世界

アメリカ映画でいえば、70年代頃、1930年代を舞台にする作品が流行って、90年代は「L.A.コンフィデンシャル」が成功して、そのセットを使いまわしたような50年代を舞台にした映画がちらほら出ていた。近年は、「アトミック・ブロンド」が80年代を、「ボヘミアン・ラプソディ」も70-80年代を舞台にした時代劇の趣がありましたね。

時代劇と言えば、キューブリックの「バリー・リンドン」、フェリーニの「カサノバ」などは立派なものでした。「バリー・リンドン」は興行的に惨敗しましたが、「カサノバ」はヨーロッパでは大ヒットしたそうで、ヨーロッパのああいうところはいいなと思った。(今はもう変わってしまってるのかもしれませんが)