『世界』2023年4月号 河合香織「分水嶺2 番外編 ルビコン川の向こう 新型コロナ2類から5類へ」

 新型コロナウイルスを2類相当から5類に引き下げることが決定され、分科会としても三年にわたるパンデミックにひとつの区切りがついた形になった。この三年間を分科会の立場から見直すルポ。
 秋に発足する予定の内閣感染症危機管理統括庁については、どのようなものになるのかはまだ分かっていない。
 東北大学大学院教授の押谷仁はコロナ禍はまだ終わりそうにないと危惧している。

 押谷は、そもそもこのウイルスは「2類にも5類にもなじまない感染症だ」と言う。2類はコンテイメント(封じ込め)を目指し、5類はミティゲーション(緩和)というスタンスをとる。
パンデミック初期の段階は、各国とも封じ込めを目指していたが、ある時点を超えると封じ込めはできなくなり、ミティゲーションといって少しでもピークをなだらかにして医療を破綻させない方針に舵を切ろうとした」
 だが、実際にミティゲーションで対応したスウェーデンなどでは多くの死者が発生してしまっている。そこで日本はその両者のどちらでもない、サプレッション(抑制)という一定程度感染を抑えていく戦略をとったという。
「それはさまざまな対策を組み合わせていくことです。3密回避とか、行動抑制を要請するとか、積極的疫学調査クラスター対策など、そういうものを組み合わせて、いかに感染者と死亡者を減らしていくかを目指しました」
(引用元:『世界』2023年4月号 p.70)

  しかし第八波ではみんなが対策をやらなくなり、オミクロン株は感染力が強かったせいもあって、日本でも感染者数が増大。他国に比べて日本は感染者数が少なかったため、まだ大きな流行が起こるポテンシャルを持っている、とのこと。
 押谷教授はSARSやMARSという自然の警告から人類が何も学べず、新型コロナウイルスによるパンデミックで多くの人命が失われたことを悔やむ。
 そして、次世代のために、今回のパンデミックについて記録を残し、自分たちの経験を伝えなければならない、と説く。

 くわしくは『世界』4月号で読んでみてください。

『世界』で連載された「分水嶺」「コロナ戦記」は新型コロナウイルスによるパンデミックについての貴重な記録となりますね。