『世界』2024年3月号 佐藤喜和「クマはなぜ、都市にあらわれるのか? 人口減少時代の自然との向き合いかた」
2023年の東北地方でのクマの大量出没について、何故そうなったか、人身被害を出さないようにするにはどうすればいいのかを考察している。
大量出没については、コップをクマの生息地である山(コップの外が人の生活圏)、コップの中の水を山で暮らすクマにたとえて分かりやすく解説。どんぐり類の凶作など大量出没の要因を氷にしていれると、コップの中の水の水位は上がる。氷の数が増えると水はコップの縁まで上昇し、やがてあふれ出すことになる。しかし、そこで水を吸い取れればコップの外に水が溢れ出すことはない。
かつては中山間地域にも集落があり、そこには狩猟者もいて、人身被害が出る前にクマを駆除できていた。しかし、中山間地域の人口減少に伴い、それが以前のようにはできなくなっている。一方で、森林のすぐ近くまで住宅街が広がると、人慣れした「アーバン・ベア」が増えてくる。
イノシシやシカとちがって、クマ類は分布域全体で生態系に深刻な影響を及ぼしているわけではなく、四国では絶滅の危機にあり、保護対策も考えなければならない面もある。
山の中のクマの個体数ははっきりとはつかめていない、というところで、山の中にあるクマ王国でドングリ凶作!という絵を想像してしまい(←絵本脳になっている)、人とクマが共生できる日本であるにはどうすればいいのかと涙目になってしまいました。著者は、まず人間に山や森に関心を持ってもらいたいと説いています。
くわしくは『世界』3月号で読んでみてください。
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