小林信彦『アメリカと戦いながら日本映画を観た』(朝日文庫)は、小林信彦『一少年の観た<聖戦>』(ちくま文庫)の復刊です。

 

アメリカと戦いながら日本映画を観た (朝日文庫)

アメリカと戦いながら日本映画を観た (朝日文庫)

  • 作者:小林 信彦
  • 発売日: 2019/07/05
  • メディア: 文庫
 

 これは、↓ の復刊です。

 

 


 復刊したり文庫化されたりするたびに本の題名を変更するのは小林信彦の"悪癖"ですよね(コアなファンには「そこがいいんじゃない!」と言う人もいるんだろうが、私はそこまで御大フェチではないので、買う側の混乱を増すだけの悪癖にしか見えない)。

 私が持っているのは『一少年の観た<聖戦>』(ちくま文庫)の方。あとがきに、これは東京下町の一人の子どもの戦争の中での成長ドキュメント、とあり、巻末には自分史と世の中の動きを並列させた年表もついている。父親と共に東京のモダニズム文化に親しんだ子供時代から、集団疎開、敗戦、焼け跡からの出発、と、少年小林信彦の目を通した当時の日本が描かれている。
 戦時中に観た映画の鑑賞記が読めるので、映画ファンにはお勧め。定評ある御大の鑑識眼によって当時の映画がどのようであったかが説明されており、また、当時の観客がどのような反応を示したか、映画が戦時下の大衆にどう影響したかも記されている。
 そして、終戦後、大人になった小林信彦が学友らと集った席で、戦争中のことが話題になった際に、「あいつが戦争犯罪人にならないのはおかしいよね」と言われる人物についての解説がある。当時人気のあった雑誌『漫画』(漫画社) で巻頭言を書いていた近藤日出造
 『漫画』については「<大東亜戦争中の大衆文化>をこれほど明瞭に語ってくれる雑誌も珍しい」「近藤日出造という漫画家の言葉ほど大衆を扇動したものはないと思う」と小林は書く。
 近藤日出造のレトリックとはどのようなものだったか?

  1. ジャーナリズム批判
  2. ごますり
  3. インテリ批判
  4. 扇動

(本では、例を挙げつつもっとていねいに分析されています、くわしくは本で読んでみてね)

 この文章の背後に見えかくれするのは、昭和初年、無政府主義に傾倒した彼の過去であり、苦労を知らぬインテリへの嫌悪である。小学校しか出ていない彼は、そこらの転向インテリのように「動かう。たへ忍ばう」とは言わない。あくまでも<駄目な私>のレベルに話をもっていく。昼酒云々の部分など、実にクサいのだが、子供だったぼくは(うまいなあ)と思った。
(引用元:小林信彦『一少年の観た<聖戦>』ちくま文庫

 

 そして敗戦後、近藤は戦時中チャーチルルーズベルトを描いたのと全く同じ筆致で東条英機を描いていて、さすがに小林信彦は「これはないんじゃないか……」と思ったそうだが。
 そのような、戦時中の映画や雑誌文化の様子がよくわかる、そしてそのことから大衆文化というものの性質も見えてくる内容になっています。
 夏になると、テレビで太平洋戦争について特集されますよね。戦争について本をよんで感想文を書けと言われる学生さんもいるんじゃないでしょうか。ぜひ、小林信彦のこの本も読んでみてください、映画や雑誌、いまならアニメが大きいかな、大衆文化とのつきあい方について参考になるのでは。


小林信彦『背中あわせのハート・ブレイク』(新潮文庫)は、青春小説、終戦直後の東京の高校生や若者の様子が描かれていて、当時を知るおもしろさも味わえる佳品なんですが、どうも小林信彦ファンの間でもあんまり人気がないらしい。中高生が読書感想文を書くのに選んでもよい作品です。

 

 

 

 

 

ゾウ350頭が謎の死/ボツワナ「前例ない規模」

www.shikoku-np.co.jp

 アフリカ南部ボツワナで5月以降、350頭以上のゾウが死んでいるのが見つかった。複数の欧米メディアが3日までに地元当局などの話を基に報じた。「ボツワナで過去に例がない規模」といい、死因は分かっていない。

 ゾウの死骸は、野生動物が多く生息するオカバンゴ湿地帯付近で見つかった。死ぬ前に円を描くように歩いていたとの目撃情報もある。

 牙が残っていたため、当局は象牙目的の密猟の可能性は否定。検体を採取し、南アフリカなどの研究機関が死因を調べている。

 

これから調べて死因が分かってくるのかもしれないけど、このニュースを見たときには、最近各地でバッタ大発生していたり、深海魚が現れたり、新型コロナウィルス大流行のこともあって、人間より地球の脈動にならって生きている動物が(人でない生き物はすべて神に近いところにいる、人から見ると神の分身といっていいくらいに)なにかを表している、ような気がしました。人間も自然の一部にはちがいないのですが、もっとも自然から疎外された要らない子だったりはするので、他の生き物を見ないと自分らのことが分からないのね。

じゃあ、何がわかったんだ、と言われると、私にもそれはわからない。ただ、大げさにいうと宇宙の流れが変わろうとしている(もしくは、変わった)のではないでしょうか。

「ほんとにあった怖い話」脳がぴくっとさせられたニュースでした。

 

香港とBLMと

www.shikoku-np.co.jp

 

香港ですが、日本でも中国の強権的対応を批判する記事が目立ちますよね。でも、新聞にはアフリカ諸国の多くが中国支持を表明しているという報道もあって(小さい記事だったな)、そういう国は中国からの支援も含めて中国と友好的関係が深い国々なのですが、そういう国もけっこうあるんだけどというのを無視していいのか、というのがあってね。これはBLMともつながってくる話にならないのですか(経済援助されてるから支持してるだけだって切り捨てるのもおかしくはないのか)、中国悪いって誰が決めるのか、もっといえば西側先進諸国と呼ばれた国はずーっと中国の安価な労働力を利用してきてるんだけど、それはなかったことにするのか(過去をふりかえるとなかったことにされてもおどろきはないけど、今欧米で盛り上がっているBLMってそういうのを批判してない?)、英国が中国を批判してるけど、だったら香港の人は英国の植民地でいたほうがよかったわけ???

 

どうもBLMの扱いをどうするのか、というのがでてきてね。日本としては、あれまずアメリカの社会問題ですよね、で、距離を置くという方法があるよね。で、これは先進国全体の問題です、なんていいだしたときに、だったら中国はどうなるんですか、というのは出てきておかしくないんだけど、あれは別扱いにするのかね。中国は、かつて先進国がやってた方法を踏襲してるだけってところもあるのだが。

 

ま、素人の感想です、「???」について知りたければ本を読んだりして勉強しなければならない、ということですね、はい。

コンゴ東部のエボラ熱終息

四国新聞2020年6月26日より。

コンゴ東部のエボラ熱終息

2000人死亡、ワクチン効果

 コンゴ(旧ザイール)政府は25日、2018年8月から流行し2200人以上が死亡した同国東部でのエボラ出血熱の終息を宣言した。世界中で新型コロナウイルス感染の流行に終わりが見えない中、「死の病」と恐れられたエボラ熱は、ワクチンや治療薬の開発、援助機関の地道な予防啓発活動で封じ込めに成功した。
 一方、今年6月から北西部の赤道州でもエボラ熱が流行しているほか、新型コロナ感染が国内各地で拡大。東部では鉱物資源を目当てに長年紛争が続き、コンゴの人道危機が終わる兆しはない。
 最後のエボラ熱患者が退院して以降、最も長い潜伏期間の2倍に当たる42日間、新感染者が出なかったためコンゴ政府が流行終息を判断した。
 世界保健機関(WHO)のモエティ・アフリカ地域事務局長はオンラインの記者会見で「関係機関が結束して取り組めば(世界各地の)新型コロナ流行にも打ち勝つことができると確信している」と述べた。
 米医薬品大手のメルクやジョンソン・エンド・ジョンソンがそれぞれワクチンを開発。「ウイルスはコンゴ政府や外国人が持ち込んだ」との陰謀論を信じる住民が多い中、コンゴ保健当局や国際医療援助団体「国境なき医師団」が住民を啓発しワクチンを接種した。

 

 新型コロナウィルスの他には、バッタが地球規模で問題になっていますよね。アフリカだけでなく、南米でも発生しているそうです。

www.shikoku-np.co.jp

 

www.breakingisraelnews.com

SENASA reported that the swarms are composed of the Schistocerca Cancellata species of locust in the subfamily Cyrtacanthacridinae which is different than the desert locust currently devastating Africa and southwest Asia. The South American species has an insatiable appetite for crops of wheat, corn, and oats. These are mostly grown as feed for cattle, a major agriproduct of Argentina. The voracious short-horned grasshoppers are devouring enough crops to feed 2,500 people every day.

記事の後半ではラビが聖書を持ち出して語っていますが、中国でも過去に蝗害はあったそうで、ただ、アフリカ産や南米産のバッタとはまたちがう中国産のバッタによるものですね。 日本は、ないですよね?

 追記 2020-06-30

日本でも過去にトノサマバッタが大発生したことがあるそうです。

くわしくは下の記事で

www.msn.com

 

 

また右斜め後ろ向きの感想が……

www3.nhk.or.jp

 

馬に乗ったルーズベルトの脇に、歩行する従者のように黒人と先住民が立っている像を見て、アメリカ合衆国は独立した植民地だったんだなあという言わずもがなのことを改めて認識した。

この像は批判されているけれども、主役のルーズベルトと共に黒人先住民を置くことで、アメリカ合衆国は白人・黒人・先住民を国民として内包している国で、作った人としてはどの人も合衆国の構成員と見なして、人種や出自に関わらず幸福になれる国としての理想を表したのではないでしょうか。(ここにアジア人とラティーノが加わると、五族協和になるんでしょうかね……)

植民地の宗主国となったヨーロッパだと、植民地の原住民やプランテーションで働かされている奴隷は植民地という外部に属するものであって、本国とは直接関係ないので自分たちの枠内には含めなかったんじゃない? 像立てても、主役の脇につくのは同じ白人の兵士だったりとか。植民地が独立してから、旧植民地出身の移民が元宗主国にやってきて今社会問題になるほど移民は増えてますけれど、ヨーロッパの白人はその土地とつながった原住民なので、外から入ってきた人らに対しては場合によってはタリバン化してもそれはそれで自然な存在ではありますよね。

でも、理念先行型国家のアメリカ合衆国だとちょっと事情がちがってきて。輝かしい理念に現実が追い付いてないので不満や批判が出るんでしょうが、これまでは輝かしい理念を背負ってるんだぜオレたちは! で、ポリコレ棒振り回して自分たちより遅れているとみなした国を殴りまくってきたのがアメリカ合衆国でもあるんで、BLMがーと言われてもポリコレ叩きされたことのある国は「ふーん……」みたいなかんじになりますね。人が死んだりしているので切実な問題なんだろうなというのは分かるんですが。ただ、アメリカのポリコレ棒で救われた人たちも世界にはいる。

BLMはまずアメリカの国内問題でしょう、でも、デモ隊に国父と呼ばれるような人物の像が引き倒されたり、星条旗が焼かれたりしているのをニュース映像で盛んに見せられると、もう香港やウイグルの人はアメリカ頼れそうにないな、それいったら台湾や韓国や日本もそうかもしれない、中国は相変わらず尖閣諸島周辺にどんどん来てるけど、そんな気分もしてくるのです。

ソ連崩壊時と異なるのは、現在の中国が、文化大革命やっても、いわゆる民主主義なんてなくても、経済発展は可能ですよ、というのを体現する超大国として存在していることなので、アメリカがここで傾き出すと、アメリカがふりまわしてきた理念も色あせていきかねない。

 

じつはアメリカのオーラが失せたのは9.11が大きいんだけど、ブッシュの後、オバマが大統領になることで、初の黒人大統領! アメリカ、自由と平等! という、夢をとりつくろうことができた。言い方は悪いがそれでなにかをごまかしてだましだましオバマの8年はひっぱってた、そんな印象がある。トランプ大統領爆誕は、だからある意味ごまかしもうやめようぜ的清々しさがあったのだが、ここへきて、またBLM、本来は切実な運動なのはわかるけど、政治的に利用されることでまた何かがごまかされようとしている印象があって、私などはどんなにブザマであろうとトランプにがんばってもらいたいと思ったりしているのです。(ニュースでアメリカ見てるだけの者の勝手な思いですよ、もちろんね、極私的感想ね)

 

BLM、発端が女性のツイートで、そこから輪が広がって、像は不快だから撤去、って、#MeTooとか、女性の共感ツイートが広がって献血ポスターに抗議するとか、あのノリですよね……(現地ではそれだけじゃないんだろうけど)

 

朝からニュースを見て、だらだら書いてしまいました。

 

付記:ソ連の崩壊で、共産主義社会主義が輝きを失いましたが、今回米国が傾くと資本主義が輝きを失うんでしょうか? 後に残るのはネオリベ国家社会主義とか?

かわいい卵の化石

四国新聞2020年6月24日より。

世界最小の恐竜卵発見

 世界最小となる小型恐竜の卵の化石を、兵庫県丹波市にある1億1千万年前(白亜紀前期)の地層から発見したと、筑波大や兵庫県人と自然の博物館の研究チームが23日発表した。殻の構造からティラノサウルスなどと同じ獣脚類に属する恐竜が産んだ新種の卵と確認された。
 長さ約4.5センチ、幅約2センチで人の親指ほどの大きさ。重さは約10グラムでウズラの卵ほどと推定される。小さなサイズの恐竜は化石として残りにくく、姿や生態などに謎が多い。チームの田中康平・筑波大助教は「小型種がどのように繁殖や巣作りしていたか解明するのにつながる」と期待する。
 2015~19年、多くの恐竜化石が見つかっている丹波市の「篠山層群」を発掘。卵の形が残る化石や殻の破片など約1300点を見つけた。たくさん卵が密集しており、巣の跡とみられる。
 最小の卵化石や、篠山層群から出土した大型恐竜「丹波竜」の発見者にちなんで「ヒメウーリサス(かわいい卵の化石)・ムラカミイ」と命名した。成長すると重さ2キロほどになるとみられる。
 このほかにも新種を含む3種類の卵が見つかり、多様な小型恐竜が共存していたと考えられる。
 恐竜の卵化石はスペインやモンゴルなど各地で発掘されているが「人のこぶし以下のサイズはめったにない」(田中氏)。チームは卵の構造を詳しく調べ、親が卵を温めたのか、地中の穴に産み落としたのかといった生態を明らかにしたいとしている。

 

ウズラの卵くらい、というのがいいですね。恐竜も、日本在住だと小柄なほうが棲みやすかったのでしょうか? 太古の日本で恐竜たちが暮らす光景が浮かんできます。

 

www.shikoku-np.co.jp

 

コロナ禍とBLM

今週は日本でもテレビのニュースでBLMが大きく取り上げられていましたね。アメリカ情勢報道ということか。なぜか見ていると、廃仏毀釈というのを思い出したり、新型コロナウィルス流行も収まっていないので、BLMが欧州飛火で植民地支配がー奴隷制がーみたいな話になってるの、コロナ禍の被害が重篤な地域が米英西伊仏というのとBLM 大ブレイクもつながっている? じつはコロナつながりなのか? と、右斜め上というより右後ろ向きな想像が広がったりしています。新型コロナ、恐るべし、というか、意外と深いぞコロナちゃん。

アベノマスク、はてなでは不評が目立つけれど、私は外出するとき便利に使ってますよ。

これもテレビのニュースで見たことですが、マスクしてても涼しさが保たれるようにする商品もいろいろ出てるんですね。コロナ並みに人間もあなどれません。

 

付記:BLMブームの発端がSNSでグロ動画がバズったこと、というのは覚えておきたい。ネット上の炎上がリアルに延焼したとすれば、当然負の兆しもある。抗議デモの一部が暴徒化した場面の動画も同様に拡散され、黒人嫌悪の感情も拡散されている。また、職務にあたった警官を組織がすぐ切り捨てるのはよくない。警官がストしたらどうするのだろう。アメリカ人なら銃で自衛できるのだろうか。