フローズン・リバー

DVDで鑑賞。
白人女性と先住民女性が、密入国者を運ぶ。
ニューヨーク州の最北端。レイはギャンブル狂の夫に金を持ち逃げされ、手付け金を払った新しいトレーラーハウスが手に入らなくなりそうになり、焦っていた。モホーク族の居留地のビンゴ会場で夫が乗り捨てた車を発見するが、その車をモホーク族の女性・ライラに奪われそうになる。後を追い、銃で威嚇してライラから車を取り戻したレイだが、ライラはその車はトランクがボタンで開くからいい値で売れるだろうと言う。
よく事情がわからないまま、レイはライラを乗せて運転し、知らぬ間に密入国者をカナダから運ぶことになってしまった。そして、1200ドルを得る。
犯罪に巻き込まれるのはごめんだと、ライラから離れようとしたレイだが、子どもたちのために新しいトレーラーハウスを買う費用を稼ごうと決心。夫に死なれたライラは、義母の家に引き取られた自分の子供を取り戻したいと考えていた。レイとライラは二人して違法行為に手を染めることになる。
冒頭、凍りついた川が映る。波の形をそのまま残して静止した水面。ライラが言う、この川の両岸はモホーク族の土地で、国境は関係ない、氷が十分厚いところなら車で渡れる、白人の橋を渡ると違法だが、ここを渡るのはいいのだ、と。
酷寒の地の風景、雪が積もり、まっすぐに直立した木々が並ぶ。耐熱材使用で水道管が凍らないトレーラーハウスを子供たちのために買ってやりたい、レイがそう考えるのが実感をともなって伝わってくる、寒さの中の暮らし。
ライラをめぐっては、居留地で暮らすモホーク族の様子が伺える。白人社会と一線を画した部族のコミュニティ、外の白人社会とどう折り合いをつけるかまず部族同士で相談をしている。
全体に顔のアップが多く、台詞は必要最小限、しかし、二人の女性の置かれた立場、彼女らを取り巻く環境がすっとわかる映画になっている。車で移動する場面が多く、景色の流れ、場面の切り替わりの間のよさで、最初から最後まで淀むことなく流れる映像に乗って疲れることなく見られた。下手なアクションものより、ずっと動きを感じさせる作品になっていた。
欠点も多いがここ一番で侠気が光る寡黙なヒロイン二人が描かれた女性映画だったな。