ステップフォード・ワイフ

DVDで鑑賞。
ステップフォードという街の謎を、引越してきた女性が探る。
ジョアンナ(二コール・キッドマン)は、ニューヨークで活躍するテレビのやり手プロデューサーだったが、彼女の製作した素人参加番組のせいで事件が起き、辞職させられてしまう。落ち込んだジョアンナに夫がコネティカット州のステップフォードでしばらく静養しようと提案。ジョアンナは家族と共にステップフォードに引っ越す。
引っ越したステップフォードの高級住宅街は、ジョアンナにはどこか奇妙に見えた。街のまとめ役をつとめる夫妻は親切だが、男たちだけの集まりがあり、妻たちといえば常に笑顔を浮かべ、50年代のテレビコマーシャルに出てくるようなありえない良妻ぶりを発揮する女ばかり。夫はジョアンナの抱く疑問にまともにとりあおうとしない。
ジョアンナは、まだステップフォードに馴染めていない新参者の女流作家とゲイの建築家と親しくなり、三人で街の秘密を探りはじめる。
冒頭、1950年代を思い出させるテレビコマーシャルが流れ、ジョアンナとして登場するニコール・キッドマンの化粧も50年代風。しかし、ジョアンナが担当したテレビ番組は今の時代ならやっていそうな素人参加ショー。劇中では登場人物がパソコンやインターネットを普通に使っている。アメリカの50年代から意匠を借りて作られた世界を舞台にして現代を戯画化して描いた作品。
原作は『ローズマリーの赤ちゃん』のアイラ・レヴィンで、若い人妻が周囲の人間を信じられなくなるというのがよく似ている。「ステップフォード・ワイフ」はコメディ・タッチだが、スリラーかホラーファンタジーになる。おはなしは少女マンガやレディコミに向きそうなかんじ。舞台になる街や屋敷のセット、そして出演者が豪華なので、安っぽくならずに物語が展開する。
ステップフォードにやってきたジョアンナを出迎える街のまとめ役・クレアを演じるグレン・クローズがピンクのヘアバンドをしているのを見た時は「これはもう何を言って無駄、絶対に逆らえない……」という気分になったが、だんだんとクローズ演じるクレアがどこか可憐なようにも見えてくる。何をいまさらだがグレン・クローズはすごい役者だ。
マシュー・ブロデリックロジャー・バートは「プロデューサーズ」にも出ていた。こういう人たちは映画スターというより、ブロードウェイのスターといったほうがいいのかもしれませんね。