- 2012年、フランス/エストニア/ベルギー
- 原題:UNE ESTONIENNE A PARIS
- 監督・脚本:イルマル・ラーグ
- 脚本:アニエス・フォーヴル、リーズ・マシュブフ
- 出演:ジャンヌ・モロー、ライネ・マギ、パトリック・ピノー、フランソワ・ブークラー
エストニアの女性がパリで家政婦になる。
アンヌ(ライネ・マギ)は、離婚し子供たちは既に成人して独立、目下同居している老いた母親の介護に追われていた。その母親が亡くなり、一人暮らしとなってこの先どうしようかと考えていたところへ、フランス語を話せるアンヌにパリで家政婦になってくれないかという依頼が来る。パリで一人暮らしをしているエストニア出身の老婦人フリーダ(ジャンヌ・モロー)は気難しく、これまで何人もの家政婦が辞めていったと聞かされるのだが。……
境遇も年齢も異なるものの、エストニア出身でパリで暮らす二人の女性が最初はぎくしゃくしながらもやがて心を通わせるようになっていく模様が描かれる。日常そのままのような現実的な情景の中で心理描写が沁みる、でも甘くはならない、フランス映画らしい作品だった。
パリで暮らしているエストニア人の集まり、というと、日本だと東京には○○県人会というのがあったりしますが、ああいうかんじなのでしょうかね。ヨーロッパとなると広すぎてあれなんですが、アンヌの様子は田舎のエストニアから花の都パリに出てきた、というかんじに見えました。若い子のように夢を持って目をきらきらさせることはないにしても、気晴らしに街を散歩する時に、ふっと都会にいる楽しさを感じている気配を漂わせて、演じたライネ・マギ、いいね、うまいね、と。歩く姿がきれいなのは役者だから当然として、そのうえスタイルがいいのですよ。劇中ひざ上のミニスカートにハイヒールで歩く場面があるのですが、年齢考えるとあの脚のきれいさはすごいのでは。
そして御大ジャンヌ・モローが、魅力的で我が強く奔放で男にもてた女が、老いてめんどい性格になり、でもああ見えてかわいい一面もたしかにある、そんなフリーダを余裕しゃくしゃくで演じていて楽しい。
パリのパン屋さんのクロワッサンはほんとうにおいしそうでした。