映画『靖国』 抗議の実態

江川紹子ジャーナルに映画『靖国』上映中止騒動が取り上げられていましたが、その中に映画館がどのような抗議を受けていたかを書いた箇所がありました。

 念のため、私も確認してみた。
 たとえば、上映が中止になった映画館の中で、一番「抗議行動」を受けていたヒューマックシシネマ。上映中止を求める電話は10数本。周辺での抗議行動は、全部で3回で、いずれも街宣車1台が長くて30分程度、「上映を中止せよ」とがなり立てたとのこと。その都度警察に連絡をし、対応についての相談にも乗ってもらっていた。警備員を雇うという話も出ていたが、「女性の従業員が怯えているし、対応しきれないんじゃないかということで、会社として中止が決まった」そうだ。
 Q−AXシネマの場合は、何の威嚇を受けたわけではないのに、「何かが起こってからでは取り返しがつかない」などと中止を決めてしまった。どういう危険性を想定したのかをいくら尋ねても、「いろいろ」と言うばかりで具体的な話は何もなかった。何を聞いても、質問に答えようとはせず、判で押したように同じ曖昧な言葉が返ってくるだけ。担当者の口ぶりからは、外からの問い合わせや抗議に対する対応マニュアルができているように思われた。
 最初に上映中止を決めた新宿バルト9も、報道を見る限り、格別の威嚇や業務妨害を受けていただけではなさそうだ。
 これといった威嚇や脅迫もないのに、上映をやめてしまったという今回の映画館の判断は、事なかれ主義もここに極まれりという感じだ。

Egawa Shoko Journal: この萎縮現象は、表現の自由の自殺行為だ

右翼が抗議に乗り込んでくるといえば、新聞社、出版社、放送局も同様の目にあってきているわけです。
ただ、映画館の場合は、お客さんの身の安全というのも気にしなくてはいけないし、映画館は繁華街や雑居ビルの中にある場合が多いでしょうから周りの店にも気を使う必要は出てくるので、安全第一になってしまうのも仕方ないのかなと思ったりしますね。
でも、場合によってはもっと警察とも協力して、いろんな映画をみんなが楽しめるようにがんばって欲しいな、と、無責任な映画好きとしては期待してしまいます。
大阪では第七藝術劇場が『靖国』を上映するそうです。

靖国」大阪で5月上映 「映画館を議論の場に」

2008年04月03日02時26分

 ドキュメンタリー映画靖国 YASUKUNI」の上映中止問題で、大阪市淀川区の映画館「第七芸術劇場」が5月に予定通り上映することを決めた。同館は地元商店主らが出資する96席の市民映画館。松村厚支配人は「見たい人がいるなら提供するのが役目。映画館を議論の場にしてほしい」と話している。上映は同月10日から7日間の予定。

http://www.asahi.com/culture/update/0403/TKY200804020379.html

これで、日本では観られない、なんてことにはならないですみそう。みんなで第七藝術劇場を応援しよう。
しかし、昨日も書いたけど、映画館にくらべれば、グランドプリンスホテル新高輪なんて、警備を徹底させるにしてもものすごく恵まれた立地条件の下にあるわけじゃない?
なのに、なぜ?
日教組へのプリンスホテル使用拒否問題でシンポジウム - JANJAN
この件に関しては、右翼よりも不可解なもの、それがプリンスホテルですね。