ダウト 偽りの代償

DVDで鑑賞。
若手ジャーナリストが辣腕検事の証拠捏造を暴こうと、自らが殺人犯になりすます。
次々に凶悪犯を有罪にしていくハンター検事(マイケル・ダグラス)はその名を轟かせ、次期知事の呼び声も高い。しかし、若手ジャーナリスト・CJ(ジェシー・メトカーフ)は、ハンター検事の提出する証拠に不審な点があると気づき、有名検事の連勝は証拠の捏造によってもたらされていると睨む。それを暴くために、同僚に協力してもらい、自分が殺人事件の犯人になりすましてハンター検事の手で裁判にかけられるように工作する。CJの思惑通りに事が運ぶかに見えたが、ハンター検事はCJの企みを見抜き、出し抜く。
窮地に陥ったCJを、検事助手をしている恋人が救おうと動き出す。
フリッツ・ラング「条理ある疑いの彼方に」のリメイクだそうだ。フリッツ・ラングの映画は観ていないのだが、裁判からはじまり疑惑、工作、隠密合戦、恋人との関わりなど、テンポよく話が進んでいき、各場面が昔の犯罪映画風のまとまりを見せ、小振りでひきしまったサスペンス映画になっている。夜の場面など、陰影が効いた絵が多いのも、ラング作品を意識してのことだろうか。
顔のアップが多く、役者がうまい。また、屋内を人が歩く場面がいい。カジノの中を通り抜け、エスカレーターに乗って移動しながら、CJが同僚に計画を話すところは、アイデアを思いついた若いCJの意気込みが歩く二人の動きとシンクロして映像的に伝わってくる。他にも、歩いて移動する様子がドラマの流れ、場面の展開を感じさせる。
カーチェイスの場面では、運転手の視点でとらえた映像が多用されていた。カーチェイスなのに密室的に見える絵が続き、ちょっと息苦しい印象を受けたが、見方によっては切迫感が強まったとなるのかもしれない。
いかにもお芝居的に気が効いた台詞も目立ち、おはなしの伏線もきれいに張られており、全体の印象が古風になっている気もしたが、ラング作品へのオマージュが表れてるせいかもしれません。しかし、デジタル時代の技術が重要な鍵になるあたりは現代版。