ソウルメン

DVDで鑑賞。
ソウルの大スターの追悼公演に参加するため、再結成した二人組ソウル・シンガーがニューヨークのアポロ・シアターを目指すロード・ムーヴィー。
メンフィスの路上で歌っていた三人の少年は、マーカス・フックス&リアル・ディールとして1972年にデビュー。ヒット曲を飛ばし、人気バンドとなる。ところがリードシンガーのマーカスが1977年からソロに転身。残された二人はザ・リアル・ディールとして一曲はヒットを出したものの低迷、ハインズ(サミュエル・L・ジャクソン)は刑務所に、ヘンダーソンバーニー・マック)は音楽業界を離れ洗車店を経営するようになった。
20年後。店の経営権が甥に渡り、引退して物足らない日々を送っていたヘンダーソンだが、ある日マーカスの訃報をテレビのニュースで知る。大スターだったマーカスの追悼コンサートがニューヨークのアポロで開かれることになり、テレビ局のプロデューサーからかつてマーカスとバンドを組んでいた二人に出演依頼の電話が入った。ヘンダーソンは、出所して整備工として働いているハインズを口説きアポロシアターへ向かう。
中年のソウルメン二人組みがニューヨークのアポロ目指して南部を車で横断するバディものロードムービー。南部を黒人が旅するんだからと銃を持ち、ど派手なクルマでアメリカの広大な田舎を走っていく。泊まる場所ではバンドの入ったバーで予行演習をかねたライヴ。移動中の会話からステージでのパフォーマンスまで、サミュエル・L・ジャクソンバーニー・マックの掛け合いのおもしろさが活き活きしていた。
4日かけてニューヨークまで行くのだが、その間の珍道中ぶりも自然にすっとこどっこいでリズミカルで思いがけずにかっこよくなったりして、自然に流れに乗れました。マヌケな悪役に若いラッパーが、一見オフビートだが二人にとって重要な助っ人には白人のソウルファンのテレビ局員が担当。かつて二人がつきあった女性の娘が明るい未来を感じさせ、アイザック・ヘイズは当人として出演。どたばたするけれども殺伐とはならず、ソウルファンにはほんとにうれしいバディものに仕上がっています。
サミュエル・L・ジャクソンはさすがですが、バーニー・マックがとてもよくて、台詞にはアドリブも相当入ってるんじゃなかろうか。サミュエル演じるハインズとケンカした後「チワワみたいな面しやがって」とか毒づくんですが、嫌味がなくしかしツボをギュンと押すんですよね。せつなくなったときの泣き顔もいいんですよ。
DVDの最後ではクレジットと共に、インタビューに答えるバーニー・マックの映像がずっと流れました。この作品は2008年に死去したバーニー・マックアイザック・ヘイズに捧げられています。
アメリカの黒人ならソウルメンだが、これ、日本でやると演歌か、漫才になるんじゃないだろうか。