村上龍「オールド・テロリスト」第三十八回 文藝春秋2014年8月

西木副大臣の計画に協力することになったものの、それでいいのかと悩む関口とカツラギにミツイシから電話がかかってくる。それは「来週集まって記念写真を撮る、目印になるものを身に着けて来てくれ」という、本来なら関口からミツイシに言うはずの誘いだった。困惑する関口とカツラギだが、ミツイシらと共に記念写真を撮るため太田の製麺機工場へと向かうことになってしまった。……
劇中でのミツイシの語りから、この小説の題名「オールド・テロリスト」が持つ響きがどんな音色かがつかめた気がしました。なにがしか思いつめて頭の中が精一杯になっている若いテロリストとはちょっとちがっているのですね。年を重ねていろんなことを見てきて、人間社会への諦念を抱えたまま、わかってるよ、でも、それでもやるんだよ、というか、ね。
製麺機工場上空にヘリが現れ、物語はいよいよ大詰めです。ああ、続きが待ち遠しい!