『世界』にブラジル・ルセフ大統領弾劾の顛末

世界 2016年 07 月号 [雑誌]

世界 2016年 07 月号 [雑誌]

『世界』2016.07 (no.884) 目次はこちらhttps://www.iwanami.co.jp/sekai/

伊高浩昭 『「バナナ共和国」に成り下がったブラジル』
事実上のクーデターでルセフ大統領弾劾へ

ヤフーニュースでオリンピックを間近に控えてリオ州が「五輪開催責任果たせぬ」と非常事態宣言したと伝えられています。財政難を訴えているわですが、オリンピック、大丈夫なのでしょうか。
リオのオリンピックもあり世界の注目が集まりやすくなっているブラジルですが、ルセフ大統領は弾劾裁判にかけられることが決まり、現在停職中です。ルセフ大統領はこれは「制度的クーデター」だと訴えています。いったい何が起こったのか? 詳しくは『世界』no.884 をお読みください。
筆者はこの件から日本における沖縄問題に通底する対米従属状況を想起せよと記していました。私は、アラブの春前から海外に移住していたシリアの富裕層(多くはスンニ派の伝統的支配階層だった人々)が、アラブの春の影響からシリアでもデモが起きたときに、一斉に独裁的アサド政権を倒せ、自由を! 民主主義を! と鼓吹し、シリア国内の現状が分かりづらくなったことを思い出しました。また、似たような例はアジア方面でもあることなんですが、ぱっと海外ニュースだけ見ると、軍事的独裁政権に対して民主主義を求める動きが〜みたいな絵に見えるけれども、諸々の国内事情から現政権が統治するに至った経緯を知っていないと、その民主化運動をしているのはかつてその地で支配階層だった、それこそ貴族階級でもあった一派が復権を目論んでいるという背景があることに気づけません。
また、少し飛躍しますが、先進国でも「街頭」や投票所がブルジョワ化しているという指摘がされています。
ル・モンド・ディプロマティーク日本語・電子版2015年6月号)右傾化という言葉の使用説明書 セルジュ・アリミ(Serge Halimi)http://www.diplo.jp/articles15/1506-3droitisation.html
ブラジルの記事を読むといろんなことを連想させられました。
とにかく、いまは、夏のオリンピックが無事に開催されればいいな、と祈るだけです。