伊藤由佳里『美しい数学入門』岩波新書 1842

 

美しい数学入門 (岩波新書)

美しい数学入門 (岩波新書)

 

目次

  1. 数学の世界へ!  「同じ」とはどういうことか?
  2. 集合と論理  美しい証明のために
  3. 対称性の美学  群論入門
  4. 身近な線形代数学に触れる
  5. 群と行列を使った特異点のはなし
  6. 数学との付き合い方

   題名通りの内容です。私もそうですが、大人になってから数学の楽しさにめざめて数学の本を読んだりしている人にとってはうれしい内容、群論へのとっかかりを家紋や正多面体、グラフなどを用いて解説してくれています。

 

 それと、これ、数学が好きじゃない高校生が読むといいんじゃないかというのがあって。

 2 の「集合と論理」で、集合と、集合を用いた「必要条件」「十分条件」の説明があって、学校の教科書ではないこういう本でそれを読むと、あ! て分かる人がいると思うんですね。

 それと、4 で行列を取り上げていて、それは現在高校では行列を習わなくなっているから、でも、やっぱり大学生になったときには行列を知っていてもらいたい、からだそうで、これを読むと行列がどんなものか分かるんで、すると学校でやってる数学の見方も変わるんじゃないでしょうかね、とくにもう苦手だと思い込んでいるような人。

 で! 4 の行列をちゃんと読めば、三角関数の和の公式、ぱっと出るようになるんですよ! 暗記で苦労なさってる方、この本読んでみてね! 

 6 も、高校生にとっては進学を考える際にためになることが書かれています。

 

 学校と縁が切れて時間が経ってから、数学への愛に目覚めた人も多いと思います。私的には、小説や詩を読むのが好きな人なら数学も好きになる可能性が大きい、というのがあって、シニアの数学ファンが増えるといいなというのがあります。

 数学の美しさは詩の美しさと感応するところがあって、そして、外国語学習と数学の勉強は通じる面があるなというのが、いまの私の感想。学のある人なら、数学と哲学は似ている、というかもしれない。

 大人になってから勉強の楽しさに目覚めるきっかけとなったのが、NHKのラジオ基礎英語と、高校講座(あのころはNHKからテキストが出ていた)だったんですが、気楽に趣味としてはじめてみる人が増えるといいよね。

 

 数学では、岩波から出ている次のシリーズも、一般人向けです。

 

新装版 数学読本1

新装版 数学読本1