中台有事で日米共同計画 位置付けに食い違い?

四国新聞2007年1月4日より引用。

日米両政府 中台有事で対処計画 補給・輸送、医療を想定
日米両政府が、中国と台湾間の有事を視野に、米軍と自衛隊による共同対処計画の検討開始に基本合意していたことが分かった。複数の日米関係筋が3日、明らかにした。双方の外務、防衛当局者が2月から中台有事に至る複数のシナリオの研究に着手する。日本側は周辺事態法を根拠に、給油、医療などの「後方支援」の可能性を探る方針だが、台湾の独立を認めない中国は強く反発しそうだ。
周辺事態法の適用範囲に、台湾が含まれるかを明確にしてこなかった日本政府の従来見解との整合性も問われることになる。
日米は2005年2月、在日米軍再編の前提として合意した「共通戦略目標」の中で、中台問題の平和的解決を目指す一方、アジア太平洋地域で「日米に影響を与える事態に対処するための能力を維持する」と明記。中台有事をにらんだ対処計画は、この戦略目標を具体化する動きで、背景には台頭する中国への米国の根強い警戒感がある。
関係筋によると、日米は台湾の独立宣言、中国側からの武力行使など複数の可能性を研究。その上で、周辺事態法を柱とする日米防衛協力新指針(ガイドライン)関連法に基づき、補給、輸送、修理、医療などの「後方地域支援」に加え、(1)米兵らを対象にした「後方地域捜索救助」(2)船舶検査活動(3)在外邦人救出活動 ---- が検討されるとみられる。
日米の外交、防衛当局者が在日米軍再編に関する06年10月の協議で、中台有事における軍事協力の可能性を検討することで一致。まず対処計画の前提となる有事シナリオ研究から始める段取りで、首相官邸の了承を得たという。
ただ、米側が中台有事に絞った検討を期待し、外務省も同調しているのに対し、防衛庁尖閣諸島や沖縄などへの日本有事に波及する事態を含む包括的な計画の研究を想定。両政府内で位置付けに食い違いがあり、調整は難航しそうだ。
(四国新聞2007年1月4日 1面)

中国の反発不可避 中台有事で日米共同計画
中台有事を視野に入れた米軍と自衛隊の共同対処計画の検討に対し、中国が「内政干渉」と反発するのは避けられない。中国の軍事的な台頭と覇権拡大を警戒する米国は以前から中台有事で自衛隊の支援を求めており、日本は米中のはざまで苦悩しそうだ。
小泉純一郎前首相は2005年3月の国会答弁で、中台有事での対米軍事協力は想定していないと表明。今回の検討着手には、“親台派”とされる安倍晋三首相の意向が色濃く反映されているのは間違いない。
日米は05年2月の「共通戦略目標」合意に先立ち、04年11月に開いた在日米軍再編協議で「中国を建設的方向に導くことが不可欠だ」との認識で一致した。その上で、米側は中台有事発生時の日米軍事協力を求めたが、日本側は政治的な判断が必要として明確に回答しなかった。
米国の台湾関係法は「専守防衛」目的での台湾への武器供与を明記。台湾の安全が脅かされれば、大統領と議会が協議し「適切な措置を決定」と、武力行使に道を開いている。中国が台湾近海にミサイルを撃ち込んだ1996年には二つの空母機動部隊を派遣した。
一方、日本は1972年の日中共同声明で、中国を「唯一の合法政府」と認め、台湾を領土の一部とする中国政府の「一つの中国」の立場を尊重すると表明、台湾問題の「平和的解決」を求めてきた。このため日米が防衛協力を行う「周辺事態」についても「事態の性質に着目したもので、地理的概念ではない」と、台湾が対象となるかどうか明示を避けてきた。
(四国新聞2007年1月4日 2面)

メモ、ということで。