ザ・ウォーカー

DVDで鑑賞。
文明が滅んだ後、一人の男が一冊の本を西へ届けるため歩き続ける。
戦争が起こり、空に穴が開き、紫外線が大地に降り注ぎ、人類の社会は滅んだ。わずかに生き残った人たちが、かつての文明の切れ端にすがって暮らしている。
イーライ(ワシントン)は、一冊の本を抱え、西を目指してずっと歩いていた。
水の湧く場所を何箇所か押さえたカーネギー(オールドマン)は、小さな町を自分の手下と共に治めている。もっと支配する町を広げたい、そのためには一冊の本が必要だ。カーネギーはそう思い込んでいた。
カーネギーが支配する町に、本を抱えたイーライがやって来る。カーネギーは、イーライの持っている本を奪おうとする。
舞台となった滅びの世界は、廃墟の美に満ちた絵を見せてくれる。その中で、さすらいの旅人となった主人公イーライが、自分に襲いかかってくる敵と長い刃のナイフを振り回して戦う。永井豪の「バイオレンス・ジャック」を思い出させる場面だが、チャンバラの魅力がちゃんと出ており感心した。マカロニ・ウエスタンを連想させる撃ち合いもある。近未来の荒野を舞台に西部劇風になると、バイカーたちがならず者として登場するが、もはやこれもおなじみの光景ですね。
主人公が運ぶ本に執着する悪党・カーネギーを演じたゲイリー・オールドマン、演技力には定評のある役者だが、この役には外見からしてよくはまっており、彼の芝居がこの映画を支えていた。退屈しないですんだのは、オールドマンのおかげだな。
おはなしは一本調子、もっと劇的に盛り上がってもいい筈なところもそうならず、淡々とし過ぎていた。作る側はそれを狙って仕上げた作品なのかもしれないが、私はちょっと肩透かしをくらった気分になりました。
オールドマンはじめイギリス人の役者が目立ったところだけで三人も出ていたが、なんでなんでしょう。皆うまいからいいけども。