ストーン・カウンシル

DVDで鑑賞。
独りで養子を育てている女性が、養子を魔の手から守ろうと奮闘する。
パリに住むローラ(モニカ・ベルッチ)は、ロシアからモンゴル人の男の子を引き取り、独りで育てている。二人そろって同じ夢を見るのが気になっていた。ある日、息子の胸に赤いアザがでているのに気づく。そして二人の身辺に異変が起き始める。息子が何者かに狙われている。ローラは息子を守るために動き出すのだが。…
サスペンス仕立てのオカルトものといっていいだろう。モンゴルの伝説が謎の源泉となる。
冒頭、ピアノの静かな調べにのせて、白人の男女がアジア人の男性を連れ出そうと試みるが射殺される一場面が流れる。役者の表情から緊迫した事態であることは伝わるものの、映画の場面としてはもうひとつゆるく、あえて静かさを狙っているにしても中途半端な印象を与える。このなんだかぬるめな感じがサスペンスものとしては全編につきまとい、怪奇的な現象も昔の特撮もののようで、役者の演技で場面を持たせている。音楽が妙にエレガントなところ、全体の色調や美術など、これも昔はよく日本でも見られたフランス娯楽映画のハリウッド製とは異質なほんわかした趣味のよさがある。しかし、サスペンスを期待する人には薦められない。ちょっと変わってるとこがおもしろいよ、とでもいうしかないかな。もったりした仕上がりになってしまっている冒頭が、伏線にはなっているのだが。
モニカ・ベルッチのファンにはおすすめできる。ベルッチ一人で映画全体を支えている。見所はベルッチしかないような映画である。ショートカットでフランス語を喋るベルッチもいいぞ。グラマラスだが気がよさそうという柄に合った役、怪奇現象におびえたり、やさしくほほえんだり、物思いにふけったり、必死で逃げたり、白目をむいたり、ハダカにされてたり、スペクタクルです。細かいことはいいんだよ! ベルッチ、最高! と私は思いました。
カトリーヌ・ドヌーヴは、美人だけどミョーなヤツという役が若い時から十八番でしたが、貫禄を増してさらに凄味を効かせてミョーな女史を怪演していました。
怪奇ものだが、モンゴル人の少年が狙われるのは、ロシアで起きた核の事故が発端となっている。被曝者の中でモンゴルのある部族だけが驚異的な回復力を見せた、それがロシアだけでなくフランスからも研究者の関心を引き寄せることになるのだ。国家権力も絡んでくる。原作は読んでいないのだが、このへんは小説で読んだ方がわかりやすくておもしろいかもしれない。原作者のジャン=クリストフ・グランジェは、“フランスのスティーヴン・キング”と呼ばれているそうだ。