『世界』2023年12月号 佐藤親賢「プーチン「終わらない戦争」の深層」 福富満久「「蔑まれた地」の声 リビアから考える」

 

 

佐藤親賢「プーチン「終わらない戦争」の深層」
ロシアのウクライナ侵攻から一年半が過ぎ、戦況は膠着、ロシアの侵攻から自国を守る戦いを続けるウクライナは大国ロシア相手に消耗戦を強いられ、しかしロシア側と妥協する停戦案はのめないと戦う意志を見せている。一方、ロシアでは記者の質問に大統領報道官ペスコフが「ただ勝つだけなら話は簡単だ」と返し、ウクライナを支援するアメリカをはじめとする西側諸国もロシアを追い詰めると核兵器を使うかもしれないという懸念から、様子を見ながら支援するかっこうになり、ウクライナは悲鳴をあげている。
 第二次世界大戦とはちがい、国際社会の反発をかわないよう加減しながら続く戦争、兵士や民間人の死傷者が続く中、終わる兆しが見えない戦争。その背景にある事情を解説している。
「私たちがいま目撃しているのは、古い制度が機能しなくなり新たな安全保障の仕組みが構築されるまでの危険な過渡期である」p.54

福富満久「「蔑まれた地」の声 リビアから考える」
フランスの国際政治学者ベルトランド・バディ『蔑まれし者たちの時代』(東信堂、2023年12月刊行予定)から中東・北アフリカの地域全体がずっと蔑みの対象だったことが近年の国際政治上の様々な問題を産んだという見方を引き、著者もその見解に賛同しつつリビアを例にとってどのように問題が生じたかを語る。

 リビア、シリア、イエメン、アフガニスタンイラク、イラン、パレスチナイスラエル、そしてウクライナも「冷戦」というイデオロギー対立の断層線上にあった問題で、冷戦に勝った側が驕ってまともに対処することを怠ったことが響いているとの指摘、それを読んで、日本や韓国や北朝鮮だってまだ「「冷戦」というイデオロギー対立の断層線上」にあるのではないかと思った。
 また、「アラブの春」でカダフィが市民を攻撃したことから、NATOリビアに軍事介入し、カダフィ体制を崩壊させたが、国連の安保理決議で中国と共に棄権しNATOの軍事介入にお墨付きを与えることになったロシアにしてみれば、一般市民を守るためならと軍事介入を認めたのであって、ロシアと友好関係にあったカダフィ政権を崩壊させるのは認められない事態で、これはだまされたという感情を抱いているのではないか、というのは、高橋和夫「ロシア・ウクライナ戦争の周辺」(GIESTブックス)でも触れられていた。そして、カダフィ政権崩壊後のリビアの建て直しに西側諸国はまともに取り組まないままになっている。

 くわしくは『世界』で読んでください。

 「蔑まれた者」の中には、アメリカでトランプを支持しているイナカモノ扱いされてきた人たちも入りそうですね。

 イスラエルのガザ攻撃が非人道的にもかかわらず、米英独がイスラエルを擁護し続けているのを見て、ダブスタだの欺瞞だのという声がネット上ではそこかしこに出ていて、わたしもそれは思うんですけれども、あんまり欺瞞だうそつきだダブスタだとなじり続けると「あーそーかい、わかった、ブリッコやめるよ!」とケツまくる可能性もゼロではないので、怒りは表明しつつもやはり国連を重視して、国際協調する方向で世界をリードしてくれるよう要求しないとだめでしょう。まず、イスラエルに自分を正当化するのにドレスデンが―ヒロシマがーと言うのを止めさせましょう。第二次世界大戦を経て人類が得たものを捨てさせてはならないのです。
アメリカがケツまくったら、ほんとにマッドマックスか北斗の拳かの世界が到来しますよ、映画脳としてはそんな想像しちゃいますね)

 

 

ロシア・ウクライナ戦争の周辺

ロシア・ウクライナ戦争の周辺

  • 作者:高橋和夫
  • 一般社団法人先端技術安全保障研究所
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