『世界』2022年4月号 服部正法「ジハード大陸2.0」

 

 

9.11以後、世界の耳目を集めたジハーディスト(イスラム過激派)。
 アルカイダ幹部ビンラディンの殺害、イスラム国最高指導者だったバグダディの自爆死によって、一時期の勢いが失せた印象もありますが、テレビのニュースで大きく取り上げられる機会が減っただけで、現在も勢力を増し続けているとのこと。
 特にアフリカのサブ・サハラ地域(サハラ砂漠以南)での勢力拡大が目立つそうです。
 そのアフリカのジハーディストについてのレポート。

 

少女を拉致したり、住民を無差別に殺害するなど残虐性を見せながらも、勢力下に置いた地域では行政サービスのようなことも行い出して、疑似国家めいたものが出来てきている所も。

 マリ政府はジハーディストに手を焼き、フランスに支援要請して一時仏軍が介入しましたが、期待されたほどの成果は上がらず仏軍は撤収、その後を埋めたのは、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」。ロシアはマリだけでなく、アフリカ各国にジハーディスト対策のための軍事支援を行い、アフリカでの影響力を強めているそうです。
 
 くわしくは『世界』4月号を読んでみてください。
 
 
 以下は感想です。
 
 ジハーディスト相手だと、警察による超法規的殺害がしばしば行われ、これに反発した若者がジハーディスト側に吸収されたりして、不正を行う権力者との対立といった形になっていったりしてるんですね。
 (アメリカも、9.11の前からジハーディストに対しては超法規的な暗殺などミサイル飛ばして行ってましたよね。ビンラディン殺害もその線だったんですが、あれはいいんでしょうか? あれに納得してるのがふつうだっていうのなら、たとえば国際司法裁判所なんて、ないほうがいいんじゃない? 全人類規模での「公正」なんて幻想が実在するみたいに振舞うのはさすがにおかしすぎるとわたしは思ってしまいますね) 
 地元住民の政府への不信感が強い地域、ひとつには選挙でえらばれたとしても、いったん権力者になるとその身内周辺だけに富が集中し、他民族であるとかイスラム教徒であるとかという理由で周縁化され不公平な扱いをされてしまう人が多数いるからです。
 先進国だといくらなんでもここまで露骨な不公平はない、みたいな。でも、じゃあなんで先進国には今みたいな市民社会があるのかといえば、いち早く列強化して植民地を支配し、そこから収奪した富で時刻全体を豊かにしたから、なんで、だからなんかもやもやするんですね。
 (1950-70あたりまでの西側先進国の豊かさ・平等性を地球の裏側で支えてたのは、たぶんソ連になるんですよ。そういうのももやもや要因になるのね)
 
 ジハーディストがインターネットを活用してシンパを増やしている点も注目。イスラム国やボコ・ハラムのヴィデオが話題になったこともありますよね、もうみなさん忘れているのでしょうか? 
 イスラム国やボコ・ハラムはMTV感覚、CM感覚だったけど、今話題のゼレンスキーはそれにくらべるとハリウッド寄りかなと思ったりする今日この頃です。
 
 
トランプ大統領爆誕、#MeToo、BLM、グレタちゃん大ブレイク、そして今回のプーチンの戦争は、ぜんぶつながってるんじゃないかな。おなじ流れの上に起きてる事象に見えるよ。
 そこにネオコロナも入ってるのかもしれない。