『世界』2024年2月号 新井勝紘「”負の歴史”展示の原点 関東大震災虐殺絵に出会って」

 

昨年2023年は関東大震災から100年ということで、各地の博物館で関東大震災関連の展示が催された。著者は、2年ほど前、ネットのヤフー・オークションで出会った「関東大震災絵巻二巻」を落札しており、NPO法人・高麗博物館の企画展示「関東大震災100年 隠蔽された朝鮮人虐殺」でその絵巻を展示、大勢の入館者が訪れたという。

 その絵巻の作者は、福島県出身の教員画家・大原彌一。100年もの間絵巻が公開されなかったのは何故かは分かっていない。

 これまでも差別や歴史に関わる博物館の展示に関わってきた著者がそこから学んだこと、また、小さな市立資料館で仕事をしたときは、まず資料館を地元の人に知ってもらいたいと地史をテーマに展示物も地域の人の協力で集めてその地域に関する展示会を開き、結果、それまで資料館に足を運んだことのない人も見に来てくれよろこんでくれた、など、博物館が市民とつながることで存在をたしかなものにできると説いている。

 くわしくは『世界』2月号で読んでください。

 

関東大震災のときの朝鮮人虐殺については、『週刊金曜日』2023年11月24日号(1450号)の、野田市民から見た福田村事件 「讃岐弁から朝鮮人と疑われた」流布されたこの説は解せない」も必読。話題になった映画「福田村事件」(森達也監督)と、その基になったとされる辻野弥生『福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇』(五月書房新社)への、違和感を市川正廣・福田村事件追悼慰霊碑保存会代表が語っています。

 異論や批判が出ることも、本や映画が世に出た意味があった、ということです。ぜひ『週刊金曜日』で読んでみてください。