田中秀征「ミーハーの好き嫌いっていうのはうんと当たる」

SIGHT vol.17 2003年秋号より、「投票する政党がない!――さまよえる政党政治難民たち」という特集での田中秀征インタビューで、大勢の無党派層が小泉支持に流れて、市民運動出身で本来なら無党派層の一般人の支持をもっと集めていいはずの菅直人の人気がいまひとつであることについての田中秀征の発言。

「とにかく、個人人気が上がらないということを、彼自身が検証する必要あるよね。これはきちっとね。勝つためには考え直さないと。特に婦人層からの人気がないということ。婦人層の直感というのは非常に物事の本質に肉迫していくようなものだからね。一般の人たちはものすごく正確に見るんですよ、物事の本質を。インテリはダメですよ。そういうものが見えなくなってきてる。やっぱり主婦の人たちっていうのはテレビに政治家が出るでしょ?菅直人とか亀井(静香)さんとか。それを隣りのオヤジとか前の家のオヤジと比べるの」
―― ははははは。
「で、あの人、ずるいとかね。表と裏が違うとか、そういう直感はものすごく正しい。うんと正しいですよね。これはね、驚くほど正しいですよ。それからミーハーの好き嫌いっていうのはうんと当たる。ホントの信頼できる人間じゃなかったらね、人の気持ちは集まらない。そういうものだから、頭の中でこねくり回して、この人がいいとか悪いとか議論するのは不正確だから。逆に言うと、あの民主党菅直人がもうひとつ婦人層からウケないとしたら基本的な理由があるんだよ。それを検証しなきゃ勝てない。言い繕うことができないから。僕はそう思うよ。」
(引用元:SIGHT vol.17 2003年秋)

この発言自体が、「女の直感」というものを恣意的に持ち上げたりもするインテリの幻想だ、となるのかもしれないけれど、たとえば最近だと石原慎太郎の「ババァ発言」を知ってなお石原を支持しているオバサンたちを低脳と切り捨てる、もしくは低脳と決めつけた上でさらにピント外れの解釈をして仲間内でわかった気になったりしている人たちにくらべると、自分の知性とは異質な知性というものもこの世にはあって、それが自分には気づけないことを察知することも場合によってはあるのだ、と認めているだけでも、オバサンに対しての見下し度が低いと言えるのではないだろうか。
民主党については、男受けを狙う、というのもありかな、と思ってしまう。無理して女受けを狙ってズレた努力をするとますます女がドン引きになりそうなので、自分に合った方向でがんばってみるほうがいいのではないかと。それで何がしか成果が出れば、自分も変わるし、すると女の人の見る目も変わってくるかもしれないし。
悠長すぎますか?……そうですか。
古雑誌を整理しようとすると、つい読んでしまってなかなか片づかないのだが、SIGHT vol.13 2002年秋号には浅野史郎インタビューが出ていたりした。