春は遠い

少しはあたたくなってきたかな、と思うと、また雪や雨が降って冷え込みが戻ってきます。香川県では雨が降ってくれるのはありがたいのですが、この冬は例年にくらべて長引いているように思えてなりません。
小泉郵政選挙の頃から共産党に投票するようになったけれども、それはまず自分が郵政民営化に反対だったから。しかし同時に、私とはちがう立場の人たちには郵政民営化に賛成する人もいるんだろうなくらいのことはわかっていた。あのころは小泉一派が民営化すれば万事OK、規制緩和で皆ハッピーにとマントラのように唱え、それに希望を見た人も多かったのだろう。
その後、小泉路線を支持した人がどうなっているのかはわからない。いまでも支持している人、考えを変えた人、様々なのだろうけれども、社民的な政策を支持しようという動きが勢いを増すには至っていない。
政権交代となった選挙で民主党が掲げた「国民の生活が第一。」というスローガンは、大勢の共感を集め、だからこそ政権交代となったわけで、となると社民的な方針を支持する人たちは大勢いる筈なのだが、その支持は何故かネオリベ残党に簒奪されつつある。
マスコミは小泉郵政選挙のころとほとんど変わらず、しかしあのころの熱気は取り戻せないまま、限りなく大本営発表に近い報道を続けている。非難したところで、マスコミのいうことを本気にする方がバカと嗤われるのがオチ。でも、忙しい人の中には新聞を読む時間もなく、時事についてはテレビのニュースを見て知るくらいだという人がいくらでもいるのだ。
マスコミの責任は大きい。しかし、責任はとらない。とりようがない、のだろうか。
「本気にした?!」というのは、男が女から自分の言ったことに反駁されたときに相手をバカ扱いしてかわすのによく使われる言い草だ。反駁する側にしてみれば、その男のある発言に対して自分の意見を言っているのだが、それは男の全人格を非難しているのでもあるかのように印象操作され、その男に味方することで自分を優位に置こうとする別の女が横から出てきたりして(「ほんとうはいい人なのよ」「冗談が通じないんだから」など、慣用句を練れた声音で言う)、いつの間にか反駁した女が全人格を否定されたりする。
マスコミ界隈のサロンでは、サロン内のメンバーが身を寄せ合って外部からの批判を「本気にした?!」で笑殺し続けているのかもしれない。そして、結果として、マスコミ上で浮遊する言説は一切の意味を失ってしまったのか。すべては虚妄だから何を言ってもいいし、そんなものに一喜一憂するのは愚か者だから嗤えばいい。
たしかにそうなのかもしれない。彼らのサロンごっこを眺めるのが好きという変態的な覗き趣味の持ち主でもない限り、金を払って視たり読んだりするのは、愚かしいことなのだろう。
大新聞とテレビは一度リストラされるとよい。
イラスト:blue daisy