第26回 四国こんぴら歌舞伎大芝居 第一部

こんぴら歌舞伎の第一部(午前の部)を観に行きました。初日です。金丸座の周辺は桜はもう終わりかけていましたが、しだれ桜は満開、きれいでした。
今回は木戸芸者も出ていて、江戸情緒が増していましたね。木戸芸者は琴平町商工会青年部メンバーだそうです。
こんぴら歌舞伎盛り上げへ/「木戸芸者」初げいこ - 四国新聞社
第一部の演題は 『 義賢最期 』『 棒しばり 』『 浮世風呂 』。
『義賢最期』は、源氏再興を胸に秘めた義賢(愛之助)が主人公。前半の心理劇から、後半の立ち回りへとはなしが進みます。後半の立ち回りはミュージカル仕立ての大活劇ですね。「戸板倒し」や「仏倒れ」といった大技もくり出され、プロレス的カタルシスも味わえる舞台でした。
『棒しばり』は狂言を舞踏化したもの。丸亀市民会館で観たことがある。出ていたのはちがう人だったかな。演出も少しちがってたのだろうか。腕をしばられたまま酒を飲んで酔っ払って踊るという、ちょっとファンキーな舞踏劇。こういう舞台で聴く邦楽の発声や音楽にはファンカデリックなグルーヴがあるといつも感じる。日本でロックなんかやっている人は、邦楽も聴いているのだろうか。
浮世風呂』は、江戸時代の風呂屋を舞台にした踊り。風呂屋の早朝、朝日が風呂場に差し込んで来る光景がじつにリアルでいい。三助政吉(亀治郎)の着物は白地で袖口からのぞく裏地は藍に近い青色、そこに真っ赤な下りというのは、ヤンキー的美意識を感じさせる。彼を見染めたなめくじが女になって出てきますが、その着物もいい。やわらいかいオレンジ色の着物にきついオレンジ色の帯、着物の裾のほうへいくとオレンジ色がだんだんやさしい灰色に変わっていく。いいかんじのきれいな色合い、でも着物の柄は「なめくじ」というひらがな。一応女の形になってますけどこれなめくじですから、と、キャラ設定がはっきり示されています。頭についているなめくじキャップ(?)も、ユーモラス。女に化けたなめくじが三助政吉の背にすり寄るあたり、吾妻ひでおのマンガを思い出させる不条理ギャグの香りがしました。
歌舞伎を観るのはおもしろいです。第二部は別の日にいくつもりですが、いまから楽しみですね。