ロンゲスト・ヤード

DVDで鑑賞。
刑務所内で、看守チームと囚人チームによるアメリカン・フットボール対決が行われる。
ポール・クルー(バート・レイノルズ)は、昔はアメリカン・フットボールのスター選手だったのだが、今は金持ち女性の囲われ者になっていた。しかし、その女性との生活に嫌気が差し彼女の元を出て行くことにする。怒った女性は車を盗まれたと警察に通報。ポールは逮捕され、刑務所送りとなる。
刑務所の所長は、看守で作ったセミプロのアメフトチームが二位止まりで低迷していることにいらだっていた。入所した元プロ選手のポール・クルーに、看守チーム強化に協力させようと思いつく。ポールは、囚人チームを作ってセミプロに仕立て、試合をして看守チームが勝つよう八百長ゲームをするという手があると冗談交じりに言ったところ、所長は本気になる。
所長の命令で、ポールは囚人を集め、チームを作り、看守チームとの試合をしなければならなくなる。囚人の中から使えそうな者を集め、いっしょに練習をしているうちに、これは八百長などできない、試合するからには勝たなければならないという気持ちになってくる。
70年代のセックス・シンボル、バート・レイノルズの代表作のひとつ。学生時代にアメリカン・フットボールの選手だっただけあって、この元アメフト選手のやさぐれ男ははまり役。
冒頭のカーチェイスがいかにも70年代風、アメフトの試合の様子は男の祭りの楽しさ、ラストのスローモーションで走るアメフト野郎の美しさ、秘書役でバーナデット・ピーターズがかわいらしいおかしさを見せてくれるのもうれしい。
70年代にはかなり年上の大物女優といっしょにいて、公私共に彼女のアドバイスを受けていたバート・レイノルズコスモポリタンでヌードを披露したのも話題になったけれども、毛むくじゃらな裸体でプレイボーイの女性モデルのグラビアと同じ情景でポーズをとっていた。男がプレイメイトのパロディを演じているようで、しかもそれが笑いではなく男がピンナップとしてそのまま女性に愛玩されていく。この時代すでにマッチョは客体化されおもちゃにもされる対象になっていたということなのか。
マッチョな魅力を売り物にしていたものの、映画の中でも強さが前面に出るということはなく、かわいげがあって嫌味がなく、やるときはやるんだけどどこか寂しげなヒーローが多かった。題は忘れたが、ローレン・ハットンと共演した映画では、二人の間に恋愛感情のようなものが生まれるものの、最後はハットン演じるヒロインが自分のキャリアアップを選び、バートは潔く身を引く。バート・レイノルズ自身が製作し、カトリーヌ・ドヌーブを相手役に招いた「ハッスル」でも、タフにはちがいないが現実の中では勝者にはなれない男の哀愁が漂っていた。それが魅力的に見えるのが、バートがスターだった証だろう。
「ブギー・ナイツ」では、当人が自分の演じた役のよさをよくわかってなかったらしいが、胸毛に白いものが混じりだし、あのバート・レイノルズも初老になったのかとしみじみとした気分にさせられたものの、場面によっては横顔がちゃんとスター顔で映っていた。そして、自分ではよさがよくわかっていなかったというのが、それもまたうつくしい挿話に思えてくるのだった。
ロンゲスト・ヤード」は2005年にリメイクされているそうだが、リメイク版は未見。バート・レイノルズも出ていたそうだ。

付記

70年代にバート・レイノルズといっしょにいたのはダイナ・ショアでした。女優でもありますが、本業は歌手ですね。ダイナ・ショアはバートより20歳も年上でした。