AERAを、買った。

AERA最新号のキャッチコピーが顰蹙を買っている。
http://digimaga.net/2011/03/aera-says-hansei-shitema-su
私もはてなブックマークのコメントでは、いやみったらしい感想を書いてしまった。しかし、週刊誌のキャッチコピーとしてはありではないかとも思う。
東日本大震災にともない原発事故が起きた。原発事故に関する特集記事を載せている。そのことをアピールするために、キャッチとして「放射能がくる」と掲げるのはありなのではないか。ちなみに、TIME最新号のキャッチは "Japan's Meltdown" である。これも、地震津波、そして原発事故で、広い地域が麻痺状態になった日本の現状を言い表した一句としては、的確といっていい。さらに擁護するなら、AERAの今週の一行コピー「見えない恐怖に、負けない。」も、いたずらに脅えてデマに流されないよう気をつけようという含意もあるだろう。そのために、誌上に情報を載せておりますから読んでみてください、というのは、おかしくないよ。
もともと雑誌を読むのが好きな者なので、あんまりたたかれているとかばいたくなってしまいました。ブックマークのコメントを読んで思ったのは、もう「週刊誌のキャッチコピーとしては」というのが広く通じなくなってしまっているのかなということ。週刊誌の見出しを読み取るリテラシーが、無用の長物と見なされるようになってしまっているということでしょうか。
今週号の週刊誌はすべて震災と原発事故の特集となるだろう。既に出ているものもいくつかある。そして、キャッチはどれも同趣向なのだが、その中で、AERAだけが槍玉に上がったのは何故なのか。おそらく、デザインがよく一際目立ったためなのではないか? それに加えて朝日というブランド力が炎上を煽ったのかな。
今日は二冊週刊誌を買った。『AERA』と『週刊現代』。
AERAは、地震津波、被災地の現状、原発事故とそこから生じる被爆の心配について、どれもよく取材して整理して伝えている。経済関連記事には「やっぱし朝日」と感じる部分があったが、大震災特集全体としては「さすがは朝日!」だと思ったよ。インターネット上の情報を細切れに追いかけるのに疲れた私にとっては、こういう週刊誌はありがたいです。母親はインターネットは見ませんので、週刊誌をよろこびますし。記事を読み解くリテラシーは、ネット上の情報を読む際に稼動させるリテラシーにくらべれれば、読む側の負担は軽くてすむんじゃないかな。そういう面もあるんでネット上の記事よりも読みやすいよ。
週刊現代では、仙台在住の伊集院静が寄稿した文章が読めます(「被災地・宮城から見たこの国」)。他にも、現代ならではの取材による被災地情報が満載。
先週金曜日に発売された『週刊文春』2011年3月24日号では、被災地へ取材に行った宮嶋茂樹カメラマンからの写真とコメントが印象に残りました。

大震災発生二日後、宮嶋カメラマンは福島県南相馬市にいた。発生当夜に東京を出て宮城県を目指したものの、猛烈な渋滞で思うように北上できなかったのだ。
「でも、来てみると南相馬の被害も凄い(沿岸の約1800戸が壊滅と言われる)。ワシの経験でもハイチとかアチェの大地震以上や。なのに、自衛隊もメディアもおらん。みんなここを通り過ぎて北にいくんや。南相馬の被災者は、こんなに凄い被害なのになんで取材来ないんだろう、というくらいや。通常これほどの被害ならカメラマンが集結してるもんなのに、ワシしかいないことが逆に恐ろしかったわ」
(引用元:「メディアの不在に感じた恐怖」『週刊文春』2011年3月24日号)

現地へ出向き取材する記者やカメラマンが報告する媒体としての週刊誌の価値は大きい。ネット上ではマスコミ不信(これはマスコミ側の自業自得という面が大きいと私は思うが)がデフォルトになりがちだが、新聞では取り上げられないレポートが載せられるのが週刊誌でもあるので、こういうときに真価を発揮してもらいたいですね。