石巻 毛ガニやネズミのこと

午前中、花見も兼ねて神社にお参りしてきました。春の陽気。桜はいまが満開ですね。今年は寒さが長引いたので、普段通る道の傍らの木は花が咲くのが遅く、咲いても元気が感じられないまま葉が出てきてしまっていましたが、木にもよるのか、今日は春らしい花満開の光景を見ることが出来ました。水仙やチューリップも咲いていた。
岩波『世界』2011年5月号は大震災と原発事故の特集。http://www.iwanami.co.jp/sekai/
石巻に住み主に漁業を取材している高成田亨記者による被災した石巻のルポが載っています。その中から、石巻市内の商店街で食料品店を営んでいる女性と記者との会話を引用。その女性はカズちゃんと呼ばれている。

 この店には足繁く通ったのだが、年明けにカズちゃんはこんなことを言った。
「毛ガニがこの時期にこんなに獲れたことはない。海の底がぐちゃぐちゃになっていて、大きな地震が起こるんじゃないかって、本当におそろしいよ」
 そのときは、まさかと思ったのだが、あれは本当だったねと言ったら、こう応えた。
「あのとき揚がっていたのは子を持ったメスの毛ガニばかり。今思えば、子孫を残すために疎開していたんだね。つい最近は、ネズミの姿を見ないって話をしたばかりだった。気づかなかったのは人間ばかり。人間はバカだね」
(引用元:高成田亨石巻市・希望と再生を求めて」岩波書店『世界』2011年5月号)

ここをメモしておきたくなったのは、私が動物ニュースが好きだからなのだが、去年はこの手の動物ニュースがすごく多かったと思いませんか。リュウグウノツカイがたくさん漂着したり、普段なら現れない場所に動物が出てきてうろうろしたり、変わった色の動物が見つかったり、そんなニュースが。
こういうのはあとづけでおとぎばなし的伝説みたいになるだけかもしれないけれども、私はおとぎばなしが好きなので、覚えておきたいです。
今月号の『世界』では、原発推進派による広報作戦のえげつなさも取り上げられていましたが、週刊誌が批判的な記事を載せると、それに対してマメに抗議もしており、その反論の仕方が、どこか南京事件否定論者のやり口と似ているなと思いました。まだ全部読んでいないけれども、充実した内容ですよ。
イラスト:blue daisy