「ビンラディン容疑者 殺害」

本日の四国新聞一面トップの見出し。
ビンラディン容疑者」とあるのを見て思い出すのは、9.11テロ後、はじめてアフガニスタンからビンラディンがビデオ映像で声明を出した時、9.11テロ実行犯を称賛すると同時に自分は直接9.11テロに関わってはいないと語っていたこと。
9.11テロはハイジャックと自爆テロの合わせ技だったのだが、ブッシュ政権下で報復戦争という流れになってしまい、犯罪捜査の面がおろそかになった印象がある。捜査はしていたのかもしれないが、一般人にきちんと報道されないまま過ぎてしまったのではなかったか。実行犯がすべて死亡しているので真相究明がカタルシスにつながりづらいせいもあってか、戦争のほうが大きく取り上げられた。
ボブ・ウッドワード『ブッシュの戦争』でも、ブッシュおよび閣僚の前でFBIが説明をはじめたがすぐ引っ込み、その後CIAがでかい顔して出てくる場面があったが、クリントン政権時代からイスラム過激派による対米テロは起こっていたので、アメリカ的にはそうなるのが自然だったのかもしれない。アメリカ人ではない私からは、犯罪対応としてはやっていることがズレているように見えたのだが、外国の田舎者などどうでもいいのだろう。
ボブ・ウッドワードは『ブッシュの戦争』の続編みたいな本も出していてどれもよく売れたようだが、あれは日本でいうなら『文藝春秋』で赤坂太郎が連載している類のものなのではないだろうか。読み物としてはおもしろくても、どこまで真に受けていいのかわからないところがある。
ビンラディン殺害に関して声明を発表するオバマは、ブッシュにくらべるとはるかにクレバーそうだが、明るい輝きはない。ブッシュには、たとえそれがろうそくが消える寸前に燃え上がるようなものだったとしても、明るさがあった。アメリカはすでに燃え尽きたあとなのかもしれない、オバマを見ているとそんな気がしてくる。
さて、今日は憲法記念日、そして世界報道自由の日でもある。
1987年5月3日は朝日新聞阪神支局が赤報隊に襲撃され、記者が一人殺された。この事件を風化させないよう、テレビでも取り上げて欲しいものだ。