ソプラノ&バリトン ジョイント・コンサート 「歌は美しかった」

池田理代子(ソプラノ)、村田孝高(バリトン)、中村忠(フルート)、吉田千香(打楽器)、上原豪(ピアノ)、上原光(ヴァイオリン)。
ユープラザうたづにて鑑賞。
ソプラノとバリトンで日本の歌を聴かせてくれるプログラム。第一部は、「朧月夜」や「早春賦」など、小中学校で習った唱歌を中心に、第二部では「宵待ち草」や「荒城の月」から「蘇州夜曲」や「影を慕いて」など歌謡曲も含む構成。
歌によってはソプラノとバリトンが絡み、なつかしい名曲をたのしむことができました。バリトンのオペラ風「荒城の月」、ソプラノの「私の鶯」が特に印象深い。楽器演奏もよく、とくに打楽器はいろいろな種類の音を鳴らして演奏に薬味を効かせていた。
あこがれの池田理代子は、「ベルサイユのばら」のカラーページから抜け出してきた様。前半は白、後半は赤のドレスに身を包み、立ち姿がすっきりとして腕の線がうつくしい。華のある方でした。47歳で音楽大学に入ったといっていたが、そのエネルギーを舞台から分けてもらったような気になれましたよ。
私にとっては池田理代子といえば「ベルサイユのばら」など、小学生のころにはもうファンになっていたマンガ家ということになりますが、ファンになってから探して読んだ初期の作品には、被爆者と友だちになったことがきっかけで戦争や核について考えるようになっていく少女を主人公にした、社会派ドラマもありました。友人が発病し、死に脅えながら手術室に入っていくとき、はげますつもりで「がんばれ」「負けるな」といった主人公が、友人の死後、自分が崖から落ちて死にそうになったときすさまじい恐怖を覚え、あのとき友人によかれと思ってがんばれといってしまったが、自分は死の怖さをわかっていなかった、あれは無神経な言葉だったのかと思い返す場面が記憶に残っている。少女の成長物語として充実した作品だった。
池田先生は現在は舞台活動が中心とのことで、チャリティ活動にも力を入れているそうだ。
池田理代子オフィシャルサイト http://www.ikeda-riyoko-pro.com/