星新一『さまざまな迷路』新潮文庫

さまざまな迷路 (新潮文庫)

さまざまな迷路 (新潮文庫)

星新一ショートショートは何度読み返してもいい。寝る前にひとつかふたつおはなしを読み、空想をひろげる。おはなし自体のおもしろさももちろんだが、その中で描き出された様々な像や、字面とことばのつながりとイラストと、文庫本そのものがリッチなショートケーキみたいで、読み返す度にちがった発見や印象があり、飽きない。この本ではイラストは真鍋博
この本の中から最近になってちょっとまた光って見えたものを二つ紹介。

ホンを求めて
密林の洞穴で暮らす若者が、死んだ父から聞いた「ホン」なるものを求めて旅に出る。いろいろなものがつまったすばらしいもの、みんなのためにもホンを持ち帰りたい。弓矢を携え旅に出た若者だが、……
末路
ある青年が芸能マネージャーにスカウトされ、一種の毒舌芸人として売り出される。庶民の怒りの代弁者、視聴者の代わりに不満の元凶に言い返してくれる口のたつ侠客。予想を超えた人気者になった若者は有頂天になり、芸能マネージャーから独立するのだが、……