村上龍「オールド・テロリスト」第二十三回 文藝春秋2013年5月号

関口からキニシスギオに関する事情を聞き「面白い」と言った元文部官僚の山方は、関口が語った内容を整理し分析し自分の見解を述べる。そして「最大の謎は関口さんですね」と言うのだった。……
胃がん手術の後、やせ細り、老けこんで見えた山口だが、考えて喋りはじめるとかつての切れ者官僚だったころの姿がよみがえり、脚のきれいなカツラギさんがそんな山口の話に感心して聞き入っているのが関口にはおもしろくない。そういう感情が自然に出ているうちは関口もまだまだ大丈夫だろうと思えてくる、そんな村上龍ワールド。
いよいよ、戦場体験者でもある高齢者たちが自分で事を起こしそうな気配がしてきた。次号が楽しみです。
戦場体験者ですが、わりと周りにいますよね。戦地での体験談は戦争を知らない世代にとってはびっくりするようなことが多いのですが、彼らにとっては通過した昔の出来事でしかないし、アメリカなんかだと日本でなら戦後世代にあたる人たちの中にベトナムイラクからの帰還兵もいるわけで、戦争体験をあまり過大視するのもどうかと思われますが、兵器の扱いに馴れているだけでも、こういうおはなしの中だと大変な優位性となりますね。