『世界』no.933 (2020 June)、二大特集として
- 生存のために コロナ禍のもとの生活と生命
- 大恐慌とグリーン・ニューディール
ネット上で新型コロナウィルス関連のニュースを追いかけるよりも、自宅で過ごしているなら『世界』をじっくり読んだ方が見えてくるものが多いよ。
コロナ禍が起こす変化について、『世界』最新号でもいろいろ語られていますが、そこから思い出されるのが、昨年の『世界』6月号の特集「日本型監視社会」、とくに「”C” の誘惑」という記事。スマホ経由で人々の動向が監視され、社会に不満を持つ人々の居場所もネット上に用意されている。現在わたしたちが ”あるべきもの” としている何かが欠落しているが、それゆえの安心安全度が高い "C" の世界。
「"C" の誘惑」では、この "C" で描かれた世界に漸近しつつあるのが中国とされていますが、新型コロナウィルス対策では、中国は武漢封鎖など中国でなければできない強権的措置で感染爆発を押さえ込みました。
中国だけではない、感染拡大防止のために「接触確認アプリ」を開発中、というニュースもあり、コロナ禍を生き抜くために世界中が "C" 化していく兆しがあります。
「"C" の誘惑」から連想されるのは、星新一『声の網』です。この作品は文章もいいですし、SF苦手な方も今読むといいのではないでしょうか。小説だからこそ透視できる真実ってあるんですよ。