コロナはウィルスだけじゃない!

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『世界』2020年6月号では、コロナ禍大特集の影で、連載されてきた小塩海平『花粉症と人類』が大団円を迎えています。
 コロナ(corona)は、光冠・光環のこと、太陽の周りに見える光環をまず思い浮かべる人は多い筈、コロナウィルスもウィルスの形状が光環を連想させるので「コロナウィルス」と呼ばれるようになったということですね。コロナ自体はいいイメージのある語だったんですが、現時点ではコロナ=コロナウィルスみたいになってきてます。
 でも、花粉にもコロナはある! 『世界』今月号の「花粉症と人類」から引用。

 上空に花粉が数多く飛び翔るよく晴れた日、太陽が陰に隠れるような絶妙な位置に立つと、花粉光環を見ることができる。私たちは、微小な花粉そのものを直接肉眼で観ることはできないが、空中を旅する花粉を太陽に透かして眺めることにより、幻想的で美しいコロナを捉えることが可能となる。

 

 

 スギ花粉症は、日本人しかならないものだそうで、スギが日本固有の木なのだそうです。スギ花粉症の人が増えてマスク姿の人が歩くのは日本では日常的な光景でしかなかった。それ以前から風邪引いた人がマスクしているのは日本ではふつうだったせいもあって、マスク着用に抵抗感がなかったのは、コロナ禍の日本人には幸いだったかもしれない。

 それと、これは先月号の回ですが、花粉症のために引退を表明したプロ野球田淵幸一選手の談話が引用されていて、「花粉症が出ると水気の多い鼻水が出て、匂いもわからなくなり、そのせいで味もわからず、ものを食べてもおいしくないし」ということが語られていて、嗅覚・味覚に障害が出るあたり、新型コロナウィルス感染時の症状と似ているなと思ったりした。

 また、免疫については、「自己」と「非自己」というたとえで、いったん外から「非自己」を自分の内部に取り込んでから、「自己」が「非自己」の断片を察知した時「自己」に「非自己化」されて「自己」はその「非自己化」された「自己」に防衛体制をとるようになる、と説明されていて、うわあこれって人体内部のことだけじゃなくて、人が他者に対するときとよく似ているなあと感じました。

 スギ花粉症は日本人の「自己」と表裏一体で、症状が出ていない人も自分の内部にスギ花粉症を抱えている、ということ。

 そしてスギは日本固有の樹木の中でもとくに外国人を魅了する木だった、ということで、そういえば相澤敬一『NHK新ドイツ語入門』では、火星人ピポが屋久島の縄文杉に会いに火星からやってきてドイツに不時着していました。ストーリーは環境問題を絡め、練習問題に出てくるドイツ人が全員ダウナー系というステキな入門書でしたね。

 

CDブック NHK 新ドイツ語入門

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  • 作者:相澤 啓一
  • 発売日: 2006/01/14
  • メディア: 単行本
 

 

 『花粉症と人類』は、スギ花粉症対策にどのようなことが行われているかもくわしく書かれています。おもしろいので、ぜひ読んでみてください。

 また、『世界』6月号の森さやか「いま、この惑星で起きていること」では、コロナ禍で物流が滞ったことで、サバクトビバッタ対策にも影響が出ているとか。バッタの制御に失敗すれば、多くの人が食糧難に陥る恐れがあるそうです。

 

というわけで、家で過ごしている方、『世界』6月号を読んでみてくださいね。