『世界』2021年9月号 no.948 北條勝貴「亡所考 第9回 生態系総力戦体制」

 

 広島県に残る最大級の被爆建物陸軍被服支廠倉庫全三棟の耐震化、保存活用の方針を県が示し、広島の平和活動家らがひと安心したことが伝えられた後、「ところで、同建物をめぐる複数の証言は、その一隅でウサギが飼育されていたことを伝えている」と続く。

 忘れ去られた養狐、養狸の史跡に続いて、今回は養兎の歴史を辿ります。

 毛皮をとるため、化学兵器開発時の実験動物として、ウサギは軍になくてはならぬものだったそうです。「近年、大日本帝国の遂行した総力戦が、ひとつ人間のみに止どまらず、列島の環境全体を動員するものだったことが明らかになっている」……

 オリンピック後の令和日本にも響く「いったん破壊された自然はもう人力では回復することはできない」という言葉。

 養兎の歴史から見えてくる近代日本の一断面。くわしくは『世界』でお読みください。